第九話
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あかしね。あなたどこから連れてこられたの?」
「お家の近くで遊んでたの……そしたら、へんなおじちゃんたちに捕まって……」
「そう……お家って人里?」
少女はなにも言わずにうなずいた。
(乱暴されなかっただけましね……金目的って言ってたわね。人里からここまでつれてきたってことは、それほど人目に触れられたくなかったのかしら)
不振に感じた幽香は、もう一度あたりを見渡してみる。だが、さっきの男達以外の人影は見えない。
このまま返すのも危ない。そう感じた幽香は、再度少女に手をさしのべた。
「お姉ちゃんがおくってあげる。また変なおじちゃんたちに見つかるといけないもの」
「でも……」
「でも?」
「……ごめんなさい」
「あやまらなくていいのよ。行きましょう」
「うん」
少女は幽香の手をとると、そのまま歩き始めた。
「あなた名前は?」
「五月雨清香……」
「清香ね……私は花の妖怪、風見幽香。よろしくね」
「うん。花のお姉ちゃん」
できれば名前で呼んでほしいと思った幽香だったが、まあいいかとため息をついて紛らわせた。
「……あれ?」
「?」
ゆっくりと歩いていた二人だったが、少女はなにを思ったか、急に幽香の手を離すと向日葵畑に走っていった。
「……どうかしたの?」
「このお花……元気なさそう……」
少女の目の前には、太陽の方向をむかず生き生きさを感じさせない向日葵が咲いていた。茎の部分には白くにごった部分がある。
「病気ね」
「病気になっちゃったの?」
「うん」
「じゃあ直してあげなくちゃ!」
「え?」
少女は何を思ったか、白くにごった部分に手を掲げると、何かを唱え始める。すると、少女の手の手中にゆっくりと光が生まれ始めた。
光はそのまま向日葵の茎を包んでいく。すると、白くにごった部分は薄っすらと消えていった。
「……」
「これで……大丈夫」
「……そうね。この子もうれしそう」
「お姉ちゃん……わかるの?」
「ええ。花の妖怪だもの」
そういって少女の手をとると、再び歩き始めた。
数十分後、人里に着いた幽香は少女を親に引渡すと、一言警告をして帰っていった。
「へぇ……そんなことがあったのか」
そう言った勇儀は、心底驚いているようだった。
「すばらしい行為ですね。しかし、その男達というのは……」
「清香、あのあと何かあったの?」
「あ……はい。あのあと、お父さんとお母さんが村の人達に話したところ、お仲間さん達全員が
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