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魔狼の咆哮
第二章その八
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 思わず目が点になった。
  荷物をまとめ終えた中尉が部屋に来た。中尉にこれまでの一連の事件の流れと捜査の状況について説明された。
「話は聞いていましたが本当だったのですね。人狼が出るとは」
「それだけではありません。その人狼は普段は人の姿で我々の中に潜んでいるのです」
「ということは今我々がこうして話しているのを何処かで盗み聞きしている可能性のある、と」
中尉の緑の目が光った。その言葉に五人はぴくっ、と眉を動かした。
「・・・確かに。その可能性はなきにしもあらず、ですな」
「ましてやこの屋敷でも事件が起こったのです。今もこの広い屋敷の片隅に息を潜めているかも知れません」
「だからこそこの屋敷を捜査しているのですが・・・」
 署長、警部、巡査長の三人が言った。
「どうやらカレー氏が怪しい、と思われていたようですね」
 中尉が本郷と役の方へ視線を移した。
「はい。何かと噂のある家ですしね」
 カレー家の裏の仕事は中尉も知っていた。フランス陸軍も彼に仕事の依頼をしたことがある。中尉自身カレー家の者と共同作戦をとったことがある。

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