10話 一条 京介side
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、買い物リストを覗き込む。
必要なものが多いのか、種類は多いものの、ギリギリ一人で持ち運べるであろう量にまで、絞られている。
「ふーん、まあ、これぐらいならなんとかなるんじゃない」
「きょ、京介くんちょっと顔近い…………」
蚊の鳴くような八神の声、首の角度だけを変えてみれば、頬を赤く染めた八神の顔があった。
2人の顔の距離は非常に近い、お互いの吐息が顔をくすぐり、ほんの少し顔を動かすだけで唇が触れあうであろう距離だ。
流石に八神のリアクションの意味がわからないほど、朴念仁になった記憶はない。
「自分と同じ顔だろうに、なに照れてんの?」
だが同時にロリコンになった記憶もない。
「むぅ………」
勿論、態々そんなことを言い当てられて八神が楽しいはずもなく、唇を尖らせてしかめっ面になる。
「ん? キスでもして欲しいわけ?」
「違いますう」
ベーッと出された舌に、こちらからも舌を絡めてやろうかと邪念がよぎるが、流石に自重する。
「いやね、これが好みの美女なら首筋に顔を埋めた後、いい香りがするとでも言うんだけどねー」
「そんなこと言うて、どうせいざとなったらチキるんやろ」
「言うねえ、なんなら今ここでしてみせようか?」
今ここで、即ち八神相手にというわけだ。
顔をゆっくりと八神の顔へと近づけていく、するとそれだけで顔を真っ赤にするのだから、からかうのが楽しくてやめられない。
「へ、変なこと言ってる暇があるんやったら、行ってきて!」
八神はメモを盾にするように、こちらの顔にグイグイと押し付けてくる。
「へいへいほー」
適当に答えてソファーから降りつつ、八神の手からリストを受けとる。
「鍵は?」
「ん」
八神のご機嫌ん損ねてしまったのか、八神はそっぽを向きながら、鍵を投げてきた。
「なんだよー、すねてんの?」
「つーん」
「口で言ってるし」
はて、どうやら八神のご機嫌を損ねてしまったらしい。
これは困った、林道とか黒木辺りなら放っといても問題ないけど、八神は…………どうだろ?
精神年齢がやけに高いし、放っといても大丈夫な気がしないでもないけど、万一機嫌が悪いままだとまずいしなあ。
何とかしてご機嫌をとりたいけど、小学生が喜ぶような事って言ってもなあ。
「フム……………」
よし、とりあえず笑わせてみよう。
幸い顔をそっぽに向けているので、背後に回るのは簡単だった。
「標的ロックオン!」
「へ?」
次の瞬間、俺の両手は空気を引き裂いて素早く八神の両脇の下に潜り込んでいた。
そして、八神に声をあげる以上の反応を許さず、五指を動かして指の腹で
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