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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
狂った者達
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した《冬桜》を振り、その切っ先を真っ直ぐにレンに向けた。
「落ち着いてください、お二方。これ以上街に被害を出すようなら、私が相手をすることになります」
リィン、と刀身が長く造られた大太刀が涼やかな音色を奏でる。
その音をまとめて呑み込むように、ぎょろりとレンは血走った眼をカグラに向けた。
ゾッ、と背筋に怖気が走った。
みる間に、空間が、場が、レンという一個人の存在感と圧力に耐えられなくなってくる。ゆら、と様々の物の輪郭が歪みだしてくる。
溢れ出してくるのは、明確な敵意。
圧倒的な拒絶の意が、カグラの、キリトの足を竦ませていた。
瞬間、耳をつんざくほどの轟音がアルン全体に響き渡った。
まだ無事だった建築物のガラスが、儚い音を立てて破砕した。その欠片が、さながら豪雨のように人々の頭上に降りかかる。
レンの一撃を真正面から受け止めたカグラの身体がぐらりと揺れる。その背後に、波紋状に衝撃波の波が飛ぶ。それは遥か彼方に浮かぶ積乱雲の塊に容易く穴を開けた。
ぎり、ぎりり、という鈍い金属音が響く硬直時間が訪れたのは数秒だった。
重低音が耳朶を震わせ、カグラの身体が弾丸のように吹き飛ばされた。
キリトは全力で肩甲骨を震わせ、空気を叩く。顔に一瞬の圧力が掛かり、彼女の細く長い身体が両腕の中にふわりと納まり、甘い香りが鼻孔をくすぐったのと同時に、凄まじい運動ベクトルが腕を肩口から引っこ抜くほどの衝撃を伝えてきた。
「ぐうぅっっ…………ぁあっ!!」
もはや街というよりただの瓦礫の山と化してしまっているアルン中央街付近に突っ込むのを、キリトはカグラを抱えたまま何とか堪えた。システム以上の運動信号を与えられた背中の翅の先が、空気との摩擦で戦闘航空機のように白煙をたなびかせる。
「大丈夫ですか!カグラさん!!」
半ば叫ぶように訊くと、気を失っているかのように眼を瞑っていたカグラは目蓋を震わせながら薄く開け、その口許から触れたら切れそうなほどに弱々しい言葉を紡ぎ出す。
「だい…じょ………です。…………きり、と」
「はい」
「彼を……レンを、助けてください。彼…は、迷っているのです。道に……、闇に……、全てに」
「…………………………」
キリトは静かに翅を震わせ、降下をし始めた。
ぺしゃんこになっている平屋の屋根の上に足を乗せる。
少し硬くて冷たいかもしれないが、そこには眼を瞑っていただきたい。屋根の上にカグラを横たわらせながら、キリトは手の大剣を軽く振り払い、背に吊り下げている鞘に納めた。
そのまま空になった右手を、横に真っ直ぐ伸ばした。
そこに、白き過剰光が集まる。空間が歪み、光が輪郭を保ち始めた。
柄が
鍔が
刀
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