第2話
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体力が回復し学校に通うことになった。年齢は13歳だが学校に通ったことのなかったので初等部に通うことになった。廊下をナルミと歩いているとB組の前で止まった。ここが私のクラス。「初等部B組」副担任に私のことを任せるとナルミは「黒猫には気をつけて」と言い残して去っていった。黒猫とはどういうことだろう。クラスでペットでも飼っているのだろうか。私はB組に入り、その意味を理解した。後ろの席、黒猫の面をつけた少年がこちらを見ていた。面越しにもこちらを睨んでいるのが分かる。全身の毛を逆立てて警戒してるのだ。私のように、お前は悪魔か?天使か?と。私は彼の視線を無かったことにして、黒板に名前と歳をかく。
金谷川 咲月 13歳
そして一礼して、指定された席についた。黒猫は相変わらず警戒の視線を送ってくる。騒がしい喧騒を掻い潜って届く視線は私の背中をチクチクと指した。そんな視線を相変わらず無視して本を取り出して読もうとしたとき、目の前に一人の少女が立っていた。パーマのかかったらつり目の女の子。腰に手をあてて私を睨む。
「あんた、どんなアリス持ってるわけ?」
アリスって何だ。多分特別な力の事だと理解した。この子は年上の私に対してなぜのこんなにも強気なのか。私は少女の顔をじっと見つめる。
「さっきから黙っちゃって、何か言ったらどうなの?」
少女から視線を外さないようにポケットに手をのばして、携帯を取り出す。素早くメモツールを開いて文字を打つ。
『私は話すつもりもないし、あなたに言う必要はない』
少女は文字を声に出して読むとキッと睨んだ。少女はまだ何か文句を言っていたが聞こえないふりをした。すると今度はヘラヘラした男の子とケンカを始めた。矛先がそれたので少しほっとする。本を開いてページを読み始めたとき、私の体は宙に浮いた。どうやら何かしらのたからで宙吊りになっているらしい。困った。私の足元にある机に携帯を落としてしまった。声を出すか出さないか迷っていると。さっきのヘラヘラした男の子が
「なんで携帯で会話してるの?」
話したくないからと心の中で答えた。
「でも話せるんでしょ?」
会話が成立してしまった。そうかこの子は心が読めるのか。男の子はそうだよと肯定する。それじゃ話がはやい。通訳になってくれる?男の子は二つ返事で了解してくれた。
“ここから下ろしてくれる?できるだけ早く。”誰にも向けず言った。
「お前がアリスを明かさない限り下ろさない。」
坊主頭の子が答える。彼が私を宙吊りにしているのか。
“君が私を宙吊りにしてるんだ。下ろしてくれる?”
男の子は何も言わない。私はため息をついた。
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