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少女1人>リリカルマジカル
第四十二話 少年期【25】
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「エイカ。こいつはたまたま俺が拾って友達になったやつでさ。ヴェルターブーフって言って、少し前から俺の家に居候することになった辞書だ」
『ふむ、己はブーフとも呼ばれている。よろしく頼む』
「……また変なのが増えたのはわかった」
「嬢ちゃんもだいぶ慣れてきたな」

 あれ、おかしい。何事も第一印象が大切だと思って、しっかり挨拶をしたつもりなのに。相手に頭を抱えられてしまった。

『ヴィンヴィンよ、己は何かおかしなことでもしてしまったのだろうか』
「いや、普通の挨拶だったよな。母さんもアリシアもリニスもこれで問題なかったし」
「問題なかったのかよ!?」

 アリシアは空飛ぶ本に大興奮し、リニスはブーフの上がいい昼寝場所だと喜び、母さんは我が子が拾ってきてしまったものなら責任をもたないといけない、と辞書の育て方を検索しようとして……今思うと、母さんが一番混乱していた。

 一応デバイスのようなものなので、父さん関連だと名前をちょっと借りてしまった。でもそれのおかげか、母さんは結構あっさりと受け入れてくれた。これは果たして父さんの信用度が高かったのか、逆に低かったのか。俺も父さんなら、何を作っても受け入れてしまいそうだ。

「……店主もなんだかんだで受け入れているよな。拾われて居候している、しゃべる辞書だぞ」
「単体で現れたらわからんが、アル坊が連れてきたしな。こいつの周りに変なのが集まるのはいつものことだろ」
「たった一年弱でこれに慣れてしまった自分が嫌だ」

 とりあえず、こいつらが揃って失礼なやつであることはわかった。


 さて現在俺たちは、ちきゅうやでのんびりおしゃべりをしている。先日テスタロッサ家での居候権を勝ち取った辞書のブーフを連れ、俺はクラナガンの街を案内していた。確かにロストロギア判定されるかもしれないブーフを連れ出すのは、不用心すぎるかもしれない。それは自分でも思ったけど、それ以上に心配のし過ぎな気も同時にしていた。

 ロストロギアだろうと、ブーフ自身は結局辞書でしかないのだ。こいつの性能や背景について黙っていれば、この次元世界で注目される方が難しい。人が当たり前のように空を飛んで、無機物が普通にしゃべっている世界である。今更本がしゃべったり、自力で浮いていることに驚かれることはなかった。

 実際エイカも店主さんも、ブーフの存在そのものに驚いた様子は全くない。こういうところは異世界様様である。下手に隠すより、現在の技術に紛れる部分は紛らせる。この世界を知っている人物であればあるほど、情報の少なさが逆に今持っている知識と照らし合わせて勝手に補ってくれるのだ。それこそ専門家でなければ、わざわざツッコんでくることもない。

 隠すところは隠して、出すところは出す。それが俺とコーラルとブ
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