第四十二話 少年期【25】
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のは、間違いなくお前が原因だろ!」
「本部のみんなに『孫』を広めたのは事実ですけど、あの事件は暴走した情報課の単独犯ですよね」
『レジアス・ゲイズ』
出身:ミッドチルダ東部
階級:三佐
局員ID:GGP00691−003213243
役職:防衛長官秘書/孫
「きっと情報課の人たちも納得しちゃったんですよ」
「これ消すのにどれだけ大変だったと思ってんだッ! 管理局バンクに載っているのに気づいたときは、端末を叩き割ろうかと思ったぞ!?」
でもあれのおかげで、周りから微笑ましそうに見られるようになりましたよね。特に年配の方に。あらあら仕方がないわね、って感じで。陸と海の共通の孫の誕生であった。副官さんも年上を無下にできない性格だから、もみくちゃにされるらしい。それに同情した本部の同僚さんたちが、助けてあげたりしていた。
「ふーん。じゃあやっぱり、副官さんは孫が嫌だってだけでお姉さんを拒否るんだー」
「いや、そんなつもりは」
「えー。じゃあどうしてですか?」
おそらくだけど、この人が足踏みする理由は他にあると思う。俺からの追及に、副官さんは静かにもう一杯ビールを飲んで考えている。少し時間が流れ、そしてポツリと小さな呟きが店に響いた。
「別に、ただ……俺なんかにはもったいないと思っただけだ」
「副官さん?」
ビールをテーブルの端に置き、副官さん―――ゲイズさんは堰を切ったかのように口を開いた。
「驚くことでもないだろ。俺の性格はお前も知っている通りの仕事人間だ。俺は、地上部隊で働けることに誇りを持っている。ミッドの平和を護ることが、俺にとって何よりも大切なんだ。……目標なんだ」
拳を握りしめる副官さんの言葉は、絞り出すような声だった。
「俺はこれからも総司令官の隣に立って、地上を、次元世界を守っていきたい。そんな男だ。……だからこそ、そんな俺が世帯を持っても、彼女を幸せにできないかもしれない。俺は家族よりもきっと仕事を取るだろう。こんな男よりも、もっと彼女を大切にして、幸せにできる男の方がいいはずなんだ」
カランッ、と俺のジュースに入っていた氷が小さく音を鳴らした。そんな音が聞こえてしまうぐらいに、副官さんの言葉はよく通り、沈黙を作った。そして、俺はそんな副官さんの様子をじっと見つめていた。
……本当に、この人ってなぁ。そう思いながら、彼らしいとも同時に俺は思っていた。俺は1年半ぐらいしか副官さんを知らない。それでも、わかることはあった。
最初に出会ったときは、ピリピリとした威圧感がある青年だと思った。ゲイズさんはなんだかんだで超エリートだ。年も若く、仕事もできるすごい人。だけど彼をもっと知ったら、おちょくったら面白い人だとわかった。彼なりに周
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