第四十二話 少年期【25】
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りながら、話の続きを聞くことにした。
「そりゃ最初はいきなり見合いだなんだと言われて、突然で混乱した。全くそんな話を聞かされていなかったし…、いやだからって別に彼女に悪い印象はなかったんだ。見合いを蹴るなど、女性を悲しませるわけにはいかないし、管理局員としてだな…。だから会うだけ会ってみたんだが……」
ここまで饒舌な副官さんを初めて見ました。
ゲイズはこんらんしている! というテロップでも流れていそうだ。そしてこの人、どこの中坊なんだ。女の人に慣れていなさそうだとは思っていたけど、これほどだったとは。しかもこの人、自分が惚れ気っていることに絶対気づいていない。
はっきり言って帰りたいです。恋愛話は冗談半分で聞くのが一番面白いのであって、本格的な惚れ気話は食いながらじゃないと聞けん。というかうらやましいんだよ、こんちきしょう!
「それじゃあ、何が副官さんの荒ぶる原因なんですか」
「なんで、……なんで総司令官の孫なんだァァーーー!!」
やっぱりそこか。注文して頼んでおいたノンアルコールビールをがぶ飲みする副官さん。こんな時でも未成年を気にするあたりはさすがである。
今まで孫孫言われて、否定し続けていたことが現実になる。俺も冗談半分で言っていたのが、実現してしまいそうなことには半笑いしてしまった。おじいちゃんが俺のあだ名に爆笑していた理由がようやく分かった。あれは確信犯だ。
「でも、おじいちゃんの孫が嫌で振るなんて絶対ダメですよ。お姉さんは悪くないことですし」
「わかっている。それはわかっているんだ」
少し冷静になったのか、落ち着いてビールを口に含んでいく副官さん。俺も頼んでおいたオレンジジュースで喉を潤す。この人は激情家な部分はあるが、それで短絡的に決めるような人ではない。そこらへんは結構誤解されやすいらしい。おじいちゃんからそんなことを聞いたことがある。
彼は自身の心の内を誰かに告げることは滅多にない。そのため複雑にいくつもの考えを絡み合わせながら、いつも自分だけで答えを出す。だけど周りはその性急さに足踏みしてしまうのだそうだ。
俺は前に副官さんから、総司令官とのなれ初め話を簡単にだが聞いた。それを総司令官に話したら、すごく驚かれた。そして、この話を聞かされたのだ。まったくホウレンソウは大切だって、副官さんだってわかっているはずなのになー。
……しゃーない。俺なら遠慮しないと言うのなら、とことん遠慮を取っ払ってもらおう。俺も今日は、副官さんへの遠慮を取っ払う。
「もういいじゃないですか。これで仕事場でも戸籍上でも、名実ともに『お孫さん』になったということで。うん、めでたし、めでたし」
「いや、勝手にしめるな! というか、仕事場に関してその名前が広がった
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