第四十二話 少年期【25】
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令官から家族の話を聞くことが多かった気がする。手作りのお弁当だったり、家族写真を見せてもらったり…』
『その方はお爺様の部下の方でね。お爺様ったら、孫の私が微笑ましくなっちゃうぐらいその人のことをよく話してくれたの』
『先日に見合い写真を撮りに来ていたらしく、さらに相手側のご両親とはすでに面会をしていて…』
「……エイカ。俺、外堀を埋めていく怖さを今日初めて知った」
「お前、本当にどうした」
おじいちゃんの独特の笑い声が、俺の頭の中に響いたような気がした。
******
『…俺は、俺はどうしたらいいんだ……!』
「7歳児に人生相談をしに来ないで下さい」
お姉さんのお見合いを見送ってから1週間後。俺の端末に通信が来た。そして繋げた相手からの第一声がこれである。偶然とはいえ、なんとなく事態が飲み込めている俺。しかしいくら切羽詰っていても、ここは相談所ではないのだが。
「他に相談できる人はいないんですか?」
『本部のやつらはいつの間にか総司令官から聞いていたらしく、いきなりお祝いの言葉をもらった。最近様子のおかしかった家族は、すでに祝福モードだった』
さすがはおじいちゃん。
「……俺に相談するのはいいんですか?」
『お前は俺の中で別の次元生物と認識しているから、今更気を使うのもあれだし、失うものはないかと思った』
「この釈然としない苛立ち…、これが怒り……?」
とりあえず俺は、めっちゃ外堀を埋められまくった副官さんの相談相手に選ばれたようです。
通信から数時間後。休日だったため予定は空いていたので、直接話を聞くことになった。副官さんはいつもなら本部で仕事をしているが、さすがに今のお祝いモードの職場で働ける図太さはまだ培われていなかったらしい。
それならと俺の知っているお店で会うことになった。父さんと以前行った居酒屋風定食屋。そういえば、副官さんと前にお昼ご飯を食べに行こうとしたら、炎天下のストーカー劇になったんだっけ。副官さんもだいぶトラブルメーカーな体質だよなー。うん、そろそろ現実に戻っておくか。
「……いい人だったんだ」
「はい。あっ、店員さん。いも焼きください」
「俺も1つ頼む。それで、物腰も柔らかいし、きれいな人だった。写真で見せてもらったことがあったが、実際に会ってみるとまた印象も変わってな。俺は仕事しかできないような人間だぞ、って言ったのに、誰かのために一生懸命な方なのね、って。……ちくしょう」
「あと、鶏手羽先焼きください。種類は―――」
「塩焼き風味で」
副官さん手羽先に八つ当たりしないでください。食事は今回奢ってもらえるそうなので、遠慮なく頼んでいます。腹が減っては戦はできぬ。俺も運ばれてきた手羽先を齧
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