第四十二話 少年期【25】
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てしまっていた。それにしてもお見合いか…。
俺たちの興味津々な様子から、店主さんが簡単にだが教えてくれた。なんでも数日前から決まっていたらしく、先日もお見合い写真を撮りに来ていたらしい。さらに相手側のご両親とはすでに面会しており、お姉さんもちょっと恥ずかしそうだったが、満更でもない様子であったそうだ。お相手にもよるけど幸せになってほしいな。お姉さん、すごく優しい人だし。
見合いについて気になった俺とエイカは、お姉さんが出てくるまで待ってみた。さすがに着付けとなると時間がかかったが、奥から出てきたお姉さんの姿に俺たちは感嘆の声が漏れる。綺麗に整えられた栗色の髪に髪飾りが映え、切れ長の瞳には優しく化粧が塗られている。着物ともよく似合っていて、印象もかなり変わっていた。
普段オシャレに興味がなさそうなエイカでさえも、見惚れているのだから相当だろう。これは相手の男性がちょっとうらやましいな。お姉さんは19歳と若いが、ミッドの結婚の適齢期は早い。すぐに結婚ということはないだろうが、20代前半には大体の人がしてしまっているらしい。
とまぁ、そんなミッド事情は置いといて。やはり知り合いの恋愛で気になるのは、お相手のことやなれ初めである。
「ねぇねぇ、お姉さん。相手の人ってどんな人なんですか?」
「うーん、実はまだ写真でしか見たことがないのよ。今日初めて会うことになるわ」
「えっ、そうなんだ。初めてって、お姉さんは大丈夫なんですか?」
「ふふ、大丈夫よ。その方はお爺様の部下の方でね。お爺様ったら、孫の私が微笑ましくなっちゃうぐらいその人のことをよく話してくれたの。だからなんだか楽しみの方が強いかしら」
「お姉さんのおじいさん、その人のこともう孫扱いなんですね」
なかなか愉快なおじいさんらしい。普通孫の婿って、なかなか祖父側を攻略するのが難しいと思うのに。こりゃお姉さんとその部下の方がOKなら、籍もすぐに入っちゃうかもな。その時はしっかりお祝いしないと。そんなことを考えていた俺の隣から、ひょっこりと店主さんが顔を見せた。
「おぉ、えらく別嬪さんになったじゃねぇか。これなら相手の男はイチコロだな、ローバストさん」
「もう、店主さんたら」
……えっ。
「ローバス…ト、さん?」
「え、えぇ。イーリス・ローバストが私の名前よ。アルヴィン君どうしたの、具合が悪いの?」
俺の態度に心配そうに首を傾げられたが、俺はすぐに笑顔で取り繕った。まさかお姉さんが、すごく見知った相手の本当のお孫さんだったとは。そして驚くと同時に、俺の頭の中にある情報が次々とまとまっていき、とある答えが導き出されていった。
『総司令官が、……めちゃくちゃ機嫌がいいんだ』
『大概俺に何かとばっちりが来る!』
『最近は総司
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