第四十二話 少年期【25】
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「なんだ、アル坊は知らねぇのか。嬢ちゃんの誕生日は12月らしいぞ」
「なっ、店主ッ!」
えっ、そうなの? 口を滑らした店主さんにエイカが頬を朱に染めながら怒っていた。この反応はマジみたいだな。俺が聞いてもはぐらかされるだけだったのに、……ほほぉー。
「そうかそうか、12月はエイカの誕生日があるのかー」
『それはめでたいことだ』
「おいやめろ。そのニヤニヤやめろ。絶対アホなことを考えるんじゃねぇぞ」
何故か冷や汗を流すエイカ。別に悪いことをするつもりはないぞ。ちょっと隠されていたことに、笑みが深くなってしまったとかそんなことはないよ。
「友人の誕生日を祝うのは当然だよなー。……盛大に」
『ふむ、友人とは素晴らしいものだな。己もマスター直伝のレッツパァーリィーな披露をしよう』
「会場は任せな。他の坊主たちも呼んで、その日はちきゅうやを貸切にしてやろう。ふっ、俺ってば従業員のために太っ腹な上司だなぁ」
「その無駄な行動力と一致団結さは別のことに使えよ!?」
12月は地球でやっていたクリスマスをミッドチルダバージョンにして開催しようかと思っていた。ご馳走を食って、ケーキを食って、プレゼント交換をする。完全にただの日本のクリスマスである。そうだ、どうせならエイカの誕生日パーティーと一緒にするか。きっと盛り上がるだろう。
「クリスマスって、確か地球のイベントだったか…」
「そうそう。ちきゅうやの店番だから、エイカもさすがに知っていたか」
誕生日については色々諦めたのか、遠い目をするエイカを見ながら答える。ただ知っていると言っても、そこまで深くは知らないようだ。そういえば、昔はクリスマスと言えばサンタさんだったよな。今でも冬の子どもたちにとっては、ヒーローのような存在だろう。
「タダでプレゼントを配り歩くなんてただの不審者じゃねぇか。大体そんなのいねぇだろ」
「エイカ夢がないぞ、お前7歳児なのに枯れ過ぎ。実際いるかもしれないだろ? 信じたら現れるかもよ」
「ふん、いるわけねぇよ。それに良い子にだけあげるって言うなら、どうせ俺には…」
……これは信じていないというより、ふて腐れている感じか? そりゃいきなり知らないおじいさんがプレゼントを置いていくなんてわけわからんことだと思うけど。でも俺が7歳のころはいつもわくわくしていた。
エイカがあれからスリをしているのかはわからない。だけど少なくとも、あの頃よりだいぶ明るくなったとは思う。笑顔だって増えた。バイト代として店主さんから給料ももらっているし、お金を得る大変さと大切さを今のエイカならわかるはずだ。なにより彼女は頭の回転が速い。盗む行為よりも、定期的に入る安定性がどれほど安心するものなのかがわからないはずがない。
エイカは拙いな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ