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少女1人>リリカルマジカル
第四十二話 少年期【25】
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ーフで考えた方法であった。

「そういえば、今日はあのうるさいデバイスはいないんだな」
「ん、コーラルのことか」
『ふむ、先輩か。先輩ならリニにゃんに連れさらわれてしまい、行方知らずとなってしまった…』
「……おい、これ以上ボケを引っかけてくるな。変でもいいから、せめて常識を持っているやつを連れてこい」
「エイカさん、ものすごく理不尽なことを言っているのわかる?」

 上級者ブーフの名前呼びの前に、コーラルは陥落してしまった。簡単な経緯としては、ブーフがリニスの名前に+αをつけて呼び、コーラルが爆笑したことでお仕置きされているだけである。超真面目で低く渋そうな音声で「にゃんにゃん」と平気で言う。さすがは機械と言うべきか、こいつの性格と言うべきか。全く羞恥心の欠片がない。

 リニスは勘がいいからな。俺と同じように、ブーフに悪気が一切ないのがわかったのだろう。彼自身は友人の証として呼んでいるだけだからだ。それにその名前が嫌だと言ったら、ブーフは素で落ち込むと思う。そう考えると、こちらも強く出られない。そのもやもやを含めた発散のために、コーラルは現在も猫パンチ祭りの真っ最中なのだろう。

「まぁ周りもそうだが、お前自身も結構うるさいか」
「えー、まぁ騒がしいのは嫌いじゃないけどさ。でもこの前の聖誕祭は静かだっただろう。みんなで聖歌を歌ったぐらいだったし」
「その後の贈り物交換イベントで、はっちゃけていたお前が言うか」
「エイカだって、その後のちょい豪華な料理を前に少年Eと激闘を繰り広げていた癖にさー」

『ふむ。喧嘩……にしては、2人ともギスギスしておらんな』
「ブーフっつったか、あれがいつも通りだから慣れておけよ。あと嬢ちゃんのあれは気にせんでいい。嬢ちゃんも騒がしいのは嫌いじゃないだろうからな」
『なるほど、これが己の辞書に載っていたツンデレというものか』
「……お前は辞書に何を載せてんだ」

 後で聞いたことだが、ブーフに載っている内容(語彙)は蒐集対象が持つ言語知識が大きく反映されるらしい。つまり蒐集対象が知っている言葉しか辞書として登録できない。そのためこいつのマスターは、出来る限りそれなりに位が高く、教養を受けた人間の屋敷に忍び込んでインストールしていたという。

 何が言いたいのかというと、俺の中にある黒歴史を含めた語彙のほとんどがブーフに知られてしまっていた。自分の辞書に変な単語ばっかり蛍光ペンで線が引かれていて、その辞書を知らない誰かに見られてしまった感じ、と言えばわかるだろうか。話を聞いた後、蒐集しまくって自分のを有耶無耶にしてしまおうか、と考えた俺はきっと悪くない。


「ところでもう12月か。地球ではイベントがいっぱいの月なのに、ミッドはなんもないよなー」
「……あぁ、そうだな」

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