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lineage もうひとつの物語
旅立
ゲラド
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たのではないか?」

そう。本心ではない。
気にかけてくれていたことはたまらなく嬉しい。
むしろそれが足枷になるのを恐れていた。
ナターシャは優しすぎるのだ。
しかしそれを認めてしまえば、言葉にしてしまえば特別な感情が生まれそうで怖かった。
アレンは沈黙してしまう。

「ふむ。まぁよいわい。そなたは恩人にかわりない。で、これを渡そうかと思っての」

ゲラドが手元にあったハンドベルを鳴らすと従者が四人がかりでテーブルよりは少し小さいが大きめの木箱を運んできた。
テーブルの横に置き恭しく頭を下げ出ていく従者を眺めながら敵方じゃなくてよかったと心底思い箱に興味は抱かなかった。
ゲラドは立ち上がり蓋を開けるとアレンを呼ぶ

「アレン殿、こちらにきて着けてみてはくれんか」

名を呼ばれ我に返ったアレンは近寄り箱の中を覗いてみる。
そこにあったのは金属でできたグローブとブーツ。そして立派な装飾の施された鎧。
アイアングローブとアイアンブーツ、エルブンブレストプレートである。
3つとも多少古さは感じられるものの手入れが行き届いており歴戦の防具という印象を受けた。

「これらはワシが若い頃使っていたものでな。今では体力的にもう装備できん。」

とゲラドは右のグローブを取りだしアレンに手渡す

「これらを使ってもらえぬか。もちろん自分に見あった防具が見つかるまででかまわん。」

「ほんとうによいのですか?このような立派なものを」

「なに、ワシも若い頃は大剣使いでな。そなたのような大剣使いが纏うための防具となっておる。着けてみるか?」

アレンは頷き両腕にグローブを装着する。

「どうじゃ?それで得物を掴んでみい。」

愛刀であるツーハンドソードを握り構えれば邪魔にならない。
初めてのはずなのに以前より着けていたような感覚。
レザーグローブ(ブラックナイト戦で壊れてしまった)よりは重いものの全く苦にならない。

「素晴らしい」

感嘆とともに吐き出す言葉。
次にブーツを履いてみるがこちらもアレンに合わせて作られたようにピッタリだ。
そして鎧。
胸と腹の部分を守る作りになっており大剣を扱う際に動きを妨げることなく戦える。

「ほう。似合っておるではないか。まるでそなたの為に作られたように見えるのぉ。」

「たしかに、そう感じるくらいピッタリです。」

そしてゲラドはマントを手渡す。

「その防具には小さいがナタリシア様のデューク王家の紋章が刻まれておる。」

グローブをよく見てみるとたしかに紋章らしきものがある。

「たしかにあります。これがデューク王家の・・・」

「この時世じゃ。堂々とその紋章を見せて歩くわけにはいくまい。これをもって隠すがいい」

アレ
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