始まった新学期
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凍てついた冬が溶けだした。 もうすぐ、春が
来るーー。
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四月、新学期はいつもなんとも言えない気分になる。 新しい学年、新しいクラス、いろんなことが まだ真っさらなままで、また、やり直しがき くんじゃないか、そんな気がするのだ。
でも、それは同時に何もかもを一から構築しなければいけない、ということでもあり…憂鬱な気分にさせられてしまうのだ。
校門を入ると、昇降口のところに人だかりが
できていた。きっとあそこに新しいクラス割
が張り出されているのだろう。
クラスのことは、どんなクラスか考えてから決めればいい、そう思って花乃子は足取りを早めた。
「花乃ちゃんっ」
なんとか貼り紙を見ようと人だかりのなかで揉み合っていると後ろから名前を呼ばれた。
「一緒のクラスだよっ。」
振り向くと沙耶が満面の笑みで飛びついてきた。 沙耶、去年のクラスで一番仲が良かった子だ。黒い髪を肩のところでばっさり切った美人さんだ。 沙耶がいるなら一安心だ。
「ほんと!?良かった。他にうちのクラスのひといる?」
「いるけど全員男子。女子はわたし達だけみたい。」
「そうなんだ。でもよかった。沙耶がいるなら初日のお弁当に困らない。」
「それはあるね…入学式のときは本当にどきどきしてたの、一緒に食べる人いなかったらどうしよ
うって。」
「別に一人で食べてもいいんだけどさ、なんか、初日はそういうことしたくないよね」
「えーっと…B組だから…もうそろそろいった方がいいよね」
人だかりが大分減っている。
みんな一喜一憂 の大イベントを終えてそれぞれのクラスへ 行ったようだ。
「あんまり、ぎりぎりに行くのも気が引けるしね」
そう言って今までのとは違う階段を二人で登っていった。
新学期のはじめというものら案外のんびりと進行していく。 眠気を誘うだけの始業式も先生の紹介の場面 では全員が起きてるじゃなか、といくらいの大騒ぎだった。
始業式も終わるとHRで 大量の手紙が配られ、大量の諸注意をされ る。 私の名字は和泉で前の方なので窓際の席だっ た。 沙耶は木暮なので、少し離れている。
今日はやけに晴れていて空が真っ青だ。ずっと窓の外を見ていたらいつの間にかHRが終わって、沙耶がお弁当を持って目の前に座っていた。
「今日は部活あるの?」
「あるよ、もうすぐ、新勧だし…やらないと 間に合わなくなっちゃう、そういや茶道部ってなにやるの?」
去年見た筈なのに私には茶道部が何をやっていたのかの記憶がさっぱりない。きっと睡魔に襲われていたのだろう。
「去年と同じだよ、着物着て説明するだけ、来てもらわないことには雰囲気もわかんないだろうし…することない」
と言って沙耶は笑った。
丁度弁当も食べ終わり、
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