”狩人”フリアグネ編
十二章 「困惑」
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られる。
あまりの衝撃に息が出来ない。
いや、爆発だけじゃない。落ちたときに頭を打ったのか、意識も遠ざかっていく。
いや、今はそんな事は些末な事だ。
薄れる意識をなんとか繋ぎ止める。
起き――ない、と。
腕を立てて、上体を起こそうとする。
あの質量の物体の爆発だ、普通の人間ならタダではすまない。
手榴弾ですら、あのサイズで致死範囲は半径約五メートルに及ぶ。
まぁ、それは破片手榴弾の場合であるが。
爆破『も』出来るというだけであって、あの燐子共は最初から爆弾として作られた訳ではないらしい。
爆発しても破片が撒き散らされる様な事はなかったからな。
現状をなるべく客観視して、意識の回復をはかる。無理にでも頭を働かせ、千切れかけていた意識の糸を繋ぎ止める。
どうやら両腕は千切れる事なく、まだ付いているようだ。
腕の感覚はないが、思いの外にすんなりと身体は持ち上がってくれた。
が、地面に立っている感覚がない。
持ち上がった?
いや、持ち上げられた。
目の前には愉悦に顔を歪ませるフリアグネ。
どうやら、俺は今、フリアグネに首を掴まれているらしい。
地面に足はついておらず、俺はただ無意味に足をバタつかせていた。
首を掴んでいる手を剥がそうとするが、剥がせない。
当たり前だ、自分の身体も持ち上げれない腕に、それを掴みあげる物を動かせるわけがない。
すると、先程までフリアグネの背後にいたシャナが動き、視界から消える。
いや、地面がスライドしたみたいに動いた。
どうやら、フリアグネは俺をシャナに突きつけているようだ。
「――中には何が、あるのかな?」
バカな奴だ。詰めが甘いんだよフリアグネ。
この期におよんで、お前はやっぱり狩人だよ。
それは称賛に値するけど、優先順位を間違えたな。
脅威にもならない俺よりも先に、シャナを排除すべきだったんだ。
シャナにはいつでもトドメを指すことができる。
その油断が命取りだったんだよ。
「残念だったな、フリアグネ。お前の負けだ」
奴の腕を剥がそうとしていた手で、奴の腕を掴む。
姿が見えない為に、確認は出来ないが今頃シャナは姿勢を落として踏み切る準備をしている筈だ。
チェックメイトだな、フリアグネ。
この状況、俺が枷になって思うように動けないだろう。しかも、シャナの体躯だと、俺の影から奇襲が出来る。
彼方より爆音、シャナお得意の突撃であることは見えずとも分かった。
しかし、いつまで経ってもシャナの攻撃は来ない。
「今、君の考えている事を当ててみようか? 『何故、攻撃が来ない』違うかな?」
「………」
あえて返事はしてやらない。それが例え図星でもだ。
「沈黙が美徳、とは限らないんだけどねぇ
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