”狩人”フリアグネ編
十二章 「困惑」
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「まさか、
武器殺し―――」
俺がそう言うのとほぼ同時に、駄目押しの如く、鎖の先端であるコインが刀身の平に張り付いた。
シャナも気付いたのだろう、憎々しげに舌を打つ。
さっきのマネキンの時もそうだったじゃないか。
武装を封じることで敵戦力を漸減する。それがフリアグネのやり方だ。
―――なにやってんだ、衛宮士郎。
「御名答―――。『バブルルート』と言うんだ。その剣がどれほどの業物であろうと、こいつを斬ることは出来ないよ」
鎖の端を引いているフリアグネが、頼んでもないのに解説をしてくる。
だが、言われるまでもない。俺にはあの鎖は切断出来ないと、本能が訴えていた。
刀剣に類する武装にとって、天敵ともいえるものだと感じる。ある意味、俺の本質その物の事だからだろうか。
どちらにせよ、この状況では奴とシャナ、有利か不利かは一目瞭然だ。
シャナの武器を封じられた。
あれでは迂闊には動けないだろう。
だが、フリアグネも武器を封じている間は身動きが取れない。
お互いに行動を封じられた形になる。
なら、自由に動ける手駒を持っているフリアグネが優勢だ。
俺も一応は自由に動けるが、奴の戦力を考えると数で圧倒されている。
だが、こうしている間にも周りのフィギュアはにじり寄ってきている。
無茶を承知で俺が動くしかないか。
行動しない限り、状況が悪くなることはあっても、良くなることはない。
覚悟を決めて、夫婦剣を握り直す。
すると、フリアグネは空いている手で袖口から、何かを取り出した。
ハンドベル、それも結構な逸品だが。
踏み出そうとした足を止め、目を凝らす。
ただのハンドベル―――、な訳はないか。
フリアグネの事だ、あれも何かの宝具だろう。
いったいどんな宝具というのだろうか?
そう考える俺を差し置いて、シャナは足裏を爆発させて突撃する。
斬撃主体の武装としては封じられても、切っ先が生きている限り衝角としては使える。
―――だが、迂闊だ。
見るからに、多彩な宝具を使った搦め手を得意としているであろう敵に、単身で突撃するなんて。
そんな俺の不安は的中し、間に入ったフィギュアの後ろで笑うフリアグネ。
奴は、勝った、と言わんばかりに芝居掛かった仕草でハンドベルを鳴らした。
手に持ったハンドベルの音は周りのフィギュア達と共鳴しているように感じられる。
―――嫌な予感がする。
ミステスとしてのこの身体が、あの音は危険だと告げている。
「下がれ、シャナ!!」
何が起こるかは分からないが、自分の直感を信じてシャナに叫ぶ。
同時に、夫婦剣を投擲。
「なに!?」
フリアグネから驚愕が漏れる。
それは、何に対する驚愕か?
企みが看破された事か
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