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lineage もうひとつの物語
序章
出立
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水の流れる音が聞こえる。まもなくらしい。
自然と進む足が早くなる。
あと10メートル程という場所で突然唸り声が聞こえた。

右!?

動揺しながらもツーハンドソードを握り直し唸り声の主を探す。

いた。

少し離れた大木の影より姿を現し威嚇しているのは体長2メートルはある全身銀色の狼顔。
ライカンスロープだ。
既に臨戦態勢に入っており腰を落として今にも飛びかからんと棍棒を構えている。

背中の荷物を下ろすと同時に飛び掛かってきた。
それを寸でのところで横に転がりながら避け態勢を立て直す。
あの棍棒が当たれば怪我じゃ済まないだろう。
当たれば、だが。
降り下ろされた棍棒に合わせて斬り上げる。
リーチが長いのが有利なのだが予想以上に相手が素早く距離が近い。
棍棒を持ったままの腕が宙を舞うのを見て直ぐ様サイドステップ。
さっきまで居た場所に強靭な牙を持った顎が向かうもそこはすでにもぬけの殻。
首を差し出した格好になったライカンスロープにツーハンドソードを降り下ろす。
ライカンスロープは断末魔をあげることなく息絶えた。

絶命したライカンスロープを確認し周囲の気配を探る。
ライカンスロープはウェアウルフという姿形は同じものの毛色が茶色の部下?を三匹程連れていることが多々ある故の行為。
それから数分は構えを解くことなく索敵するが気配は感じられない。
構えを解き一気に息を吹き出す。
喉がカラカラだ。
残りの水を水筒へ移し飲み干すが足りない。
足りない分は川があるのでいいかと、ライカンスロープから戦利品を頂く。

「いい形だ。150アデナくらいの値がつきそう」

牙を引き抜き布で拭くと袋に放り込む。
冒険者はこうやってモンスターから戦利品を集め売り捌く。
モンスターによって採取する部位は異なり形状や色艶によって価値が異なる。
今回はいい品が手に入ったが他には戦利品はないようだ。
今度は慎重に歩みを進めていく。
周辺は木々が覆い繁っているが広目の河原があり視界が開けているため多少は安全ではあるようだ。
最もモンスターからも発見される確率が上がるのは言うまでもない。

ツーハンドソードを右側に置き一応襲われても対処できるようにし水を飲み水筒、水袋へ補充する。

「腹も減ったし飯もついでに・・・」

袋から干し肉と水分を抜いたパンを取り出し口へ運ぶ。

「うまい!」

出発前に自分で作った干し肉だ。
毎食似たような食事になるため飽きないよう一枚一枚スパイスを微妙に変えた味付けがしてある。それでも5日間という日数で飽きがこないとは限らないが。

「ふんふふーん♪」

鼻唄を奏でながら袋を漁る。出てきたのはリンゴ。
リンゴにかぶりつきながら今後を考える。
川沿い
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