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東方攻勢録
第八話
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「あら、もういいの?」

「はい。まあ、相手の動向をうかがうというのもありますが……まずこの子を保護しようと思いまして」


といって映姫は少女に視線を向ける。少女はそれと同時にびくっと体を震わせた。


「ここから見てたわ。やっぱりその子だったのね」

「あなた兵士だって言ってたわよね? ぜんぜん違うじゃない」

「あのときは大勢の兵士がいたもの。私だって、追い込まれてる状況できちんとした判断はとれないわよ。でも、ちらっとその子を見た記憶はあったのだけど……まさかって思ってたらこのざまね」

「まあ今はそれをどうこう言ってるところじゃないですよ」

「おや。あんたらも戻ってたのかい?」


そういって五人のまえに現れたのは、幽香達の反対側で行動していた勇儀とヤマメだった。


「ええ。一度戻ろうって閻魔様が提案したのよ」

「こっちも同じ判断さ。で……その子は?」

「例のターゲットです」

「へぇ、兵士って言ってたから体格のいい野郎だって思ってたけど、女の子かい」

「みんな同じ反応ね」


そう言って幽香は苦笑いをした。


「さて、あなた……お名前は?」

「へっ……あっ……」


少女は気が動転してしまっているのか、オドオドしてしまって何がなんだかわからないようだった。予想通りの展開に、映姫は思わずため息をついてしまう。

そんな中、少女を細目でいていた幽香が、ゆっくりと口を開いた。


「五月雨清香……」

「?」

「えっ……あ……はい」


幽香が言った名前に反応した少女は、小声ながらも返事をした。


「……やっぱり」

「知り合い……ですか?」

「まあ十年位前のね」


そういって幽香は少女に近づいた。


「私のこと覚えてる?」

「えっ……」


少女は返事をせずにうつむいてしまった。

少女の反応を見た幽香は、怒ることなく笑みを浮かべると、そっと右手を差し出す。

すると、彼女の右手の手のひらから、小さな向日葵がゆっくりと咲き始めた。


「はじめて会ったときも、こうやって見せてあげたわよね?」

「……あっ」


右手に向日葵をのせたままこっちを見てくる幽香。そんな彼女を見て、清香という少女は何かを思い出したようだった。


「向日葵の……花のお姉ちゃん!」

「それで覚えてたの……まあいいわ」


幽香は軽く笑みを浮かべると、小さな向日葵をそっと清香に手渡した。


「怯えてはないみたいだねぇ」

「あんた私に対してどんなイメージを持ってるのよ……」

「そりゃあ……ねえ?」

「はあ……まあいいわ。さっきも言ったけど、ことの始
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