『祭』 正午〜夕方
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「織斑先生、高速で接近する所属不明ISを確認しました」
「やはり来るか……情報通りだな」
「は?」
「いや、なんでもない」
IS学園の管制室で麻耶の言葉に千冬が静かに返す。元々英国のウィンザーとセシリアからこんなことを相談できるのは自分だけだということで相談を受けていた。千冬にとっては至極迷惑な話だ。だがそのお蔭で対策も取れる。
「第4アリーナの不調は?」
「は、はい。そちらは楯無生徒会長が回ってくれるそうです」
「そうか、では我々はこちらに集中しよう」
「はい」
既にIS学園から数キロ沖に出た上空にはIS2機が待機している。しかしどちらもIS学園に存在するISではない。空と同色に彩られ溶け込みそうな色のISはロシアの第2世代型『ヴォールク』。操縦者、ラリサ・アレクサンドロヴナ・トルスタヤ。
そして隣に飛んでいるのはフランスの第2世代型『ラファール・リヴァイブ』によく似た橙色のIS『ゼル・ゼム』。操縦者、ジャンヌ・ヴェルヌ。
『本当にいいんですね?』
「ああ、構わない」
ラリサからの問いかけに千冬は答える。その答えに満足したのかラリサは右手と左手で種類の違うアサルトカノンを呼び出してだらりと腕を下げた。ジャンヌはそれを見て長大なスナイパーライフルを呼び出す。
『それにしても弟を交渉材料として使うのはどうかと思いますよ』
「お前らごときで籠絡できるほど私の弟は安くない」
『それさえ守ってもらえるなら私は問題ありません。後はこちらの問題ですから』
ジャンヌの言葉に千冬は少しだけ不機嫌そうに、しかしいつもと変わらないように答える。この二人が協力しているのは、二人の協力で学園に接近する脅威の迎撃に成功した場合、『織斑一夏との交渉の席を用意する』という条件を提示されたからである。今の世界で唯一ISの使える織斑一夏はどこの国も喉から手が出るほど欲しい人材だ。だがIS学園にいる以上公に手出しは出来ない。こういう外の人物を受け入れているときにしか交渉が出来ないのであるが、その時間外で交渉できるのであればその他大勢と違って相手に残る印象は大きい。
だからこそ二人は他国のISの前に自国のISを晒すという大きなリスクを負って協力している。
画面上には二人に急速に接近しつつあるISが映し出されていた。射程距離に入る前にラリサの言葉が通信で響く。
『所属不明のISに告げる。そちらはIS学園の侵犯領域内に接近中だ。こちらの指示に従い直ちに転身せよ。さもなくば撃墜する』
お決まりの定型文のような台詞。そして相手も決まっていたかのように応答はない。もちろん接近速度もゆるまない。
『どうやらやる
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