『祭』 正午〜夕方
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ていましたよ。
「まあ一夏さんには有名税として諦めてもらうしかありませんわね」
「ですね」
そう言って私とセシリアさんは軽く笑って仕事に戻ります。
「すいませーん、これお代わりでー」
「はーい、ただいま……って会長さん!?」
「わお、今気付いたの? 一夏君を迎えに来たんだけどねー。休憩中だったからこのまま待っちゃおうかなって」
呼ばれた席に行くと何故か私と同じ格好をした楯無会長が座っていました。そして開かれた扇子には『純情乙女』と……男の人を待つ健気な女性って意味なんでしょうけど一夏さんが拉致されるヴィジョンしか見えません。
「その恰好ならまず接客を手伝ってもらえないでしょうか」
「えー、いやよ」
「というよりお仕事はいいんですか? 確か劇もやるって」
「大丈夫大丈夫。虚ちゃんに任せておけば心配ないから」
全力で仕事放棄していますね。この学園これでいいんですか? まともに仕事しているの虚さんだけの気がしますけど。まあ注文してくれている分にはお客さんなので無理にお帰りいただくわけにも行かないです。
「あ、そうそう。さっきの人の名刺、見せてー。ふーん『みつるぎ』か。あそこの装備は中々いいのよねー。後で私も連絡してみよっかなー。はいありがとう」
「え? ってあ! わ!」
いつの間にか楯無会長の手には先ほどの巻紙さんの名刺があって私のポケットの名刺がありません。いつ抜いたんですか。
そして一瞬で目を通すと私に投げ返してきました。一連の動作が自然すぎて私は驚きの言葉しか出てきません。
その後一夏さんが戻ってくるまで私が楯無会長の相手をする羽目になりました。一夏さんが帰ってきたときは心底ほっとしたものです。帰ってきた一夏さんが「げぇ! 楯無さん!?」と言って逃げようとしていましたけど楯無会長が「どこに行く気だぁ?」って回り込んでいました。
一夏さんがひとしきり弄られた後、生徒会の今後の予定を伝えて楯無会長は教室を後にしました。ぐったりした一夏さんに私は水を差しだしつつ話しかけます。
「お疲れ様です。色々と大変ですね」
「ああ、ありがとうカルラ。いや、会長はもうどうにもならんだろ」
「そうですね。あ、後これ。預かってます」
「へ? うえ、またかよ。さっきも『みつるぎ』ってとこの人に捕まってたんだよなー」
私が預かっていた名刺を渡すと一夏さんは露骨に嫌な顔をしました。休憩中でも休まる暇はないようです。
「あれ、一夏戻ってたんだ」
「うわああああああああああああ!」
「うお! どうした」
「どうしたの!?」
いつの間に休憩から戻っていたのかシャルロットさんが立っていました。私は慌てて一夏さんの手から名刺を奪
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