第二十二話「腕力vs硬化」
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"筋力の強化"能力を持つブランク。
"細胞の硬化"能力を持つレオ。
二人の適合者が戦闘を開始した。
ギイィィィィィン!!
何度も何度も鳴り響く金属音。
ブランクが繰り出すフックやアッパー、蹴り技は、どれもただの感染者が食らえば即死する。
当たるだけで肉が千切れ、骨が砕ける。それこそ、殴られただけで首が吹き飛ぶ。
ただ一人の例外を除いては。
バギィィン!!
「ごおっ……痛ってえなぁ〜」
「………チッ」
舌打ちしつつもブランクは攻撃の手を緩めない。
何度跳ね返されても、殴り続けた。いつしかブランクの拳は、皮膚が切れ血まみれになっていた。
「………こっちの手が保たないな」
それだけ言うと、ブランクは渾身の力で右ストレートを放つ。
凄まじい金属音を伴い、レオは勢いよく吹っ飛んだ。
「痛ってえ……あ〜あ、こっちの攻撃は掠りもしないのかよ」
「………傷ひとつ負ってない奴が何を言う」
人外の威力を誇るブランクの攻撃を数え切れない程食らったにも関わらず、レオは全くの無傷。
ブランクも、レオの反撃を受け流した分は無傷だが、拳は既に血まみれでボロボロだった。
痛覚は鈍っているものの、このまま殴り続ければ骨が砕けてしまう。
「もういい加減分かったろ?」
「俺様はアンタに勝てはしないが……負けもしない。この"硬化"がある限りはなぁ」
実際その通りだった。
反撃されても、受け流して攻撃に転じることは可能だが、その攻撃がそもそも通らない。
一体どんな攻撃を当てれば、コイツの"硬化"を破ることができるのか………
その時
『レオ、戻れ。必要なデータは収集できた』
スコーピオからの帰還命令だった。
「あ〜あ、残念。こっちはまだお楽しみ中だったのに」
非常に残念そうな顔でレオはブランクの方を向いた。
それだけ言い残して、マンティコアの頭部を片手に屋上まで跳んだ。
「……………チッ」
ブランクは盛大に舌打ちした。
仲間が負傷させられた挙げ句、向こうにも何らダメージを与えられないまま、逃げられた。
しかも、何の情報も得られないまま。
ただただ、怒りが混み上がってきた。
仲間を負傷させたアイツに。それを許した不甲斐ない自分に。
「痛てえなぁ、まったく……」
「戻ったか………」
「スコーピオ、やっぱスゲーよ。あのブランクって奴」
「…………そうか……」
「……また再会できる日を楽しみにしているぞ、ブランク………」
レッドゾーンから、二人の人間が行方を眩ませた。
情報を持っている状態で。
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