暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
遺された悪意
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ょ、ちょうどいい!協力しろ、《狂楽(きょうらく)》!」

『ソンナ汚レ仕事、僕ニ押シ付ケラレテモ困ルナァ。ソレニ、君ヲ助ケルノハ仕事ノ中ニハナイジャナイカ』

「ふざけるな!ぼ、僕がいなくなって困るのは、お前じゃないか!!違うか!!」

半ば半狂乱に叫ぶ須郷に、不意にその《声》は押し黙った。

押し黙ってしまった。

やがてポツリと、本当にポツリと、《声》は言った。

体中が震えだすような、そんな《声》で。

『飽キタ』

グバッッ、という奇妙な効果音がアスナの背後で響いた。

しかし、それはありえない。だって、アスナと背を向けているのは、あんま機のごとき勢いで震えているマイと、巨大眼球がプカプカ浮いている水槽しかない。

アスナがゆっくり、錆び付いているのかと思うほどの動きで、アスナは振り向いた。

真っ黒こげだったその眼球にあった亀裂、それが限界まで開かれていた。

いや、見開かれていた、というほうが正しいのかもしれない。

だって、その中にあったのは艶やかな白い表皮だったのだから。その中心には、冗談と思えるほどに血走った瞳孔があった。

それは水槽の中でぎょろりと動き、ガラスを挟んで蛇に睨まれた蛙のように身動きが取れなくなっているアスナとマイを映し出した。

これは眼球じゃなかったのだ。目蓋だった。

そうのんきに思ったのは、返って現実逃避をしようとしていたのかもしれない。だからアスナは、その切れ長の瞳が怪しく光ったのを見、即座に対応することができた。

そのコンマ数秒後、甲高い音とともに水槽のガラスが内側から弾け飛び、そこから闇すらも吸い込みそうな漆黒の光が迸った。

────これは……、過剰光ッ!?

マイを胸に抱きかかえ、倒れこむように横に倒れるアスナ。

その頭上を、さながら閃光のような勢いでそれは飛んでいった。その狙いは────

直立不動で固まっている、オベイロン────須郷伸之。

悲鳴すらも上がらなかった。

現実の身体よりもかなり長身に設定されている身体は、見る間に真っ黒な水に飲み込まれるように消えていった。

この頃になって、ようやく須郷が人として当然の反応を示した。

だが、その悲鳴の大半は黒い渦の中に飲み込まれた。

飲み込まれて、呑み込まれた。

「なっ……、やめっ!!な、何を………!ご…ぇ、がかっ!な、にかが入って、くる……な…、ぉ、げぉああげぇ、でぃっ、でぃるッ、ディル、ディルディル!!ディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディルディ
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