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銀河英雄伝説〜悪夢編
第四十七話 俺はロリコンじゃない!
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デ侯爵夫人の事件の所為で酷い怪我をしている。あの事件にグリューネワルト伯爵夫人は直接は関係ない、だけど無関係とも言えない。最高司令官に責められても仕方のない立場と言える。

離婚したっておかしくは無いし何の補償無しで追い出しても誰も非難はしないと思う。それなのに爵位と所領の返還、それに慰謝料二百万帝国マルク、……有り得ないわ。これじゃどう見たって最高司令官の方に非が有る様にしか見えない。私が最高司令官の母親なら“あんた馬鹿じゃないの”と怒鳴りつけているところよ。

あのパーティーでヴェストパーレ男爵夫人、シャフハウゼン子爵夫人と話していた事は殆どが伯爵夫人の事だった。元気にしてるか、困ったことは無いか、自分に援助できることが有ったら何でも言うように伝えて欲しい……。誰だって思うだろう、何で離婚なんかしたのかって。さっきだって伯爵夫人の事を言われると感情がモロに出た。普段の冷徹振りからはとても想像出来ない言動だった。誰がどう見ても最高司令官は伯爵夫人の事を想っているとしか見えない。

まあ人間なんだからそういう部分が有ってもおかしくは無い。それに誰かに当たり散らすわけでもないから許せる範囲だとは思う。でも身体も弱いのだし右半身が不自由なんだからプライベートで支えてくれる女性が必要よ。出来る事なら伯爵夫人とやり直した方が良いと思うんだけど……、どちらかが嫌っているというならともかくお互いに想っているんだから……。

「閣下、どうされるのですか?」
「……」
「このままではあの話が独り歩きしかねません。何らかの手を打つべきかと思いますが」
フロイライン・マリーンドルフが話しかけると最高司令官は決裁の手を停め、彼女に視線を向けた。

「何か良い手が有りますか?」
「……それは」
フロイラインが口籠った。
「手は二つしかない、私が結婚するか、あの二人が結婚するかです。私は結婚する予定は無いし恋人も居ない、あの二人は未だ子供です、当分無理ですね」

まあ政略結婚とかでもなければちょっと難しい、困ったものだと思っていたら最高司令官がフッと笑みを洩らした。
「まあ暫くはこのままでいましょう。あの二人と結婚する気は無いが不都合な噂では無い。それなりに利用できそうです」
あらあら、なんか悪だくみしている。離婚してから元気が無かったけどどうやら復活かしら……。



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