マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
紅紫の剣舞、そして―――
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す。
(さて……)
チラッと観客席を見てある人物とアイコンタクトを取るとユウキの肩に手を掛けた。
「ユウキ……」
「え……レ、レイ?な、何?」
……6年前、俺は同じようなモーションから木綿季にキスをした。完全な不意打ちでその時は綺麗に決まったものだが……その時の事を思い出して警戒心を顕にしているのだろうか。
「……強くなったな。本当に」
「う、うん。まだまだだけどね……」
「はは。自分に厳しいな、お前は。まあ少なくとも俺が真面目に戦って勝てない位は強いよ。だからあまり謙遜しないでくれ。へこむぞ?」
「や、まだレイ……螢には敵わないよ。……何度かチャンスくれたでしょ?」
「……まあ」
バレてたのか……。確かにスキを空けた時は何度か有ったが、簡単に突けるようなタイミングではなかったし、現にその瞬間を狙っては来なかったから気付いていないのかと思った。
微妙にムクれるユウキは何時までも見ていたいほど可愛かったが、ここまでだ。
「ユウキ……」
もう一度、その愛しい名前を呼ぶ。大切な人の姿を魂に焼き付ける。
……迷いを断ち切るために、
未練を残さないために……
「螢……?」
何かを感じ取ったかのようにユウキの瞳が揺らぐ。
おずおずと肩に置かれた俺の手に小さな手を被せる。
―――暖かな、優しい手。
―――許してくれなくていい。―――また『約束』を破る俺を恨んで、とっとと忘れてくれ。
「……さよなら、ユウキ。君に会えて本当に良かった」
「え?……螢!?」
ユウキを抱き寄せ、観衆がいきなりの展開に大盛り上がりになる中―――
《紅き死神》レイ/水城螢は仲間達の前から姿を消した……。
_____________________________________
「え……!?」
レイがユウキが抱き寄せたと思った次の瞬間、レイのアバターが溶けるように消え、リザルト画面には《回線切断》と表示される。
「アスナさん、皆さん」
観衆が戸惑いでざわざわと静まっていく中、セラが立ち上がって仲間達を振り向いて言う。
「申し訳ありません。……これでお別れです」
「……お別れ?……何を言って……?」
「詳しくはお伝え出来ません。高い可能性で永久の別れとなるでしょう。私と、お兄様の事はどうぞお忘れになって下さい。ユウキさんにもそうお伝え下さい」
何を言っているか分からなかった。セラは皆の
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