暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
紅紫の剣舞、そして―――
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も関わらずユウキのHPは3割弱減っただけだった。ヒットの直前に硬直が解けるや否や間に二刀を挟み、さらに自分から上に跳ぶことでダメージを抑えた。

「うわっ!?」

だが、宙でバランスを取ろうとしたユウキがぐらつく。足には黒い帯(ドラゴンテイル)が巻き付けられていた。

レイが突進系のソードスキルを発動し、ユウキに迫る。

両手の片手剣は弾かれた反動で迎撃が間に合わない。翅で移動しても帯が足に巻き付いている状況ではまたバランスを崩されて終わりだ。


―バシッ!!


乾いた響き、レイと観客は思わず目を見開いた。ユウキは体を捻ると大太刀の側面を蹴り、ソードスキルを逸らしていた。
今度はレイが慣性でユウキに突っ込んでいく形になったが、ユウキは悪戯っぽい笑みを浮かべると体を半回転。ブーツの踵をレイの後頭部に叩き込んだ。

足に巻き付いた帯を切り、今度こそ悠々と着地。尚も油断する事無く落下の衝撃で舞い上がる土煙を凝視する。

その中心でゆらりと影が立ち上がる。大太刀を肩に担ぎ、その靄の中からゆっくりと顔を出す。その顔は―――優しく笑っていた。邪なものを含まない、ただ純粋で満足気な笑みだった。

残存HPは既に4割を切っている。ヴォーパルストライクは直撃こそ免れたが余波でHPを1割、その後の踵落としでさらに2割強を削っていた。
だが、ユウキも幾度と無く大太刀を受けたダメージが蓄積し、HPを半分失っている。ユウキの攻撃力なら後4ヒット、レイならば後2ヒットで互いのHPを削りきる。



次の交差が最後になる事を誰もが予感していた。


(……間に合えよ)


「行くよ!」
「来い!」


『観の目』に映る軌道は正面斜め下からの斬撃。逆手から振られた黒剣が防御を揺らがせ、その後を追うように上がってきたアスカロンが大太刀を宙に高々と弾き飛ばした。
だが、そこで終わるレイではない。

「あぐ……!?」

次の瞬間、左肩に強烈な衝撃。握力を失った手からアスカロンが滑り落ちる。

「おぉッ!!」

肩口を撃ち抜いた肘打ち(ティー・ソーク)の踏み込んだ勢いを殺さず、空になったユウキの左腕を取り、背負い投げのように担いだ。

ユウキも大人しくされるがままではなく、担がれた瞬間にレイの背中の上で後転し、正面に現れるや右手の剣でソードスキルを発動。

4連撃《ホリゾンタル・スクエア》

ライトエフェクトがレイの体を正方形に切り裂き、勝敗を決した。




________________________________________





「レイ……!!」
「あーあ。負けちまったな」

大歓声の中、ユウキが満面の笑みでVサインをしてくるに俺は笑って返
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