第二章 風のアルビオン
第三話 襲撃と空賊
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ワルドとの決闘があった日の夜。士郎たちは「女神の杵」亭の一階にある酒場で食事をとっていた。
明日のアルビオンへ行くための順路を、士郎達が話し合っていたその時、突然士郎が椅子から立ち上がったかと思うと、食事の載っているテーブルを入口に向かって蹴り上げると共に叫んだ。
「襲撃だっ!」
「きゃっ、な、何っ?」
「ああっ! 楽しみにとっといたのに!」
「襲撃……?」
「何よもうっ!」
「敵かっ!」
士郎の突然の行動にルイズたちは混乱。口々に文句を言うルイズたちが、士郎やワルドによって蹴り上げられ入口に向かって倒れたテーブルの影に押し込まれる。
ルイズたちがテーブルに押し込まれると同時に、テーブルに向かって矢が一斉に飛んできた。
「ちょちょちょっと! 何よコレ!」
「ひいいぃぃぃ〜!」
「傭兵?」
「あ〜んもうっ! 何よもうっ!」
「敵か!?」
テーブルの影で縮こまりながらも、ルイズ達が口々に文句を言う中、士郎はテーブルの影から襲撃者を確認する。
「七十人以上はいるな……メイジはいないようだが、さて、どうする? このままでは、宿の迷惑になるが?」
落ち着いて周囲の状況を確認した士郎のどこかズレた質問に、呆れた顔をしたルイズ達がツッコミを入れた。
「いや、シロウ……もう宿の迷惑になってるから」
「ちょっと! 落ちっ、あっぶ! 落ち着きすぎだよシロウ」
「さすがシロウというところねっ! っと」
「……傭兵が七十人以上……少し多い」
六人が一緒に食べられることが出来る大きさのテーブルとはいえ、隠れるには少々大きさが足りないことから、時々矢が体の近くに降ってくるのにびくつきながら、士郎たちが話しを続けていると、ワルドが決意を秘めた顔をして話しかけてきた。
「少しいいかね諸君」
ワルドの低い声に、士郎たちがワルドに振り向くと、ワルドは士郎たちを一度見回し口を開く。
「このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ成功とされる」
襲撃の中にあっても優雅に本をひろげていたタバサが本を閉じると、自分とキュルケとギーシュを杖で指すと、「囮」と呟やき。それからタバサは、ワルドとルイズ、士郎を指して「桟橋へ」と呟く。
それを見たワルドが頷き、何かを言おうとしたが、それを士郎が直前で遮った。
「時か……」
「それはダメだ」
「なぜ?」
士郎の否定の言葉に、タバサが疑問の声を上げると、士郎はテーブルの影からもう一度、矢を射掛けてくる傭兵たちを確認しながら、タバサたちに話しかけた。
「やはりな……傭兵だけではない……これは」
士郎はチラリと疑問の眼差しでワルドを見ると、タバサたちに振り向いて話し始めた。
「傭兵だけではないな。
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