龍殺しの実を求めて
明星の英雄
グノーム火山組A
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かった。
そして反対方向から聞き覚えのある声。
「クソッ!ヤツをなんとかしねえと村がっ、村が大変なことに!」
「慌てるなハイド!そんなことくらい誰でもわかっておる!」
「じゃあ、なんで誰もヤツと戦おうとしねえんだ!!このまま村が滅んじまってもいいってのかよ!?」
ダイラスの父、ハイドともう一人。学者らしく白衣に身を包んでいる。
「ワシはこれまで何度もヌシに言ったじゃろう!古龍とは大地震、古龍とは大火事。
来てしまっては過ぎ去るのを待つしかないのじゃ!」
どこかで聞き覚えのあるセリフ。
「じ、じーさん?」
エイン村村長代理、ジャノバ=ホヴディット。
どうやらダイラスが今目の当たりにしているのは十七年前の災厄。
陰龍ネヴィアが目覚めたあとらしい。
「あーもう我慢できねえっ!俺一人だけでも行ってくらぁ!」
「待つのじゃハイド!」
「俺には守るべき女房子供や村の人たちがいるんだ!こんなとこで手をこまねいていたら全部守れなくなっちまう!」
「お主が死んでしまったら誰がそやつらを守るのじゃ!」
「――っ!」
ハイドはそれ以上返すことができなかった。
少し間を空けて、
「…それでも俺は行く。
こいつぁ俺の誇りとプライド、それに宝物。全てを賭けた戦いだ。
狩人と龍との一対一の戦いだ。
それを邪魔するってんなら一生恨むぜ。」
「ヌシという奴は…。」
ジャノバは頭を抱えた。
「なぁーに一人で背負いこんでんだっつーの!」
「いてぇ!…ガイルじゃねえか!」
そこにやって来たのはセージの父、ガイル=グレイジス。
「何しにこんなとこまで!?」
「やな予感がしてこっちへ来たのさ。ああ大丈夫、上さんには『酒のつまみを買いに行く』っつっといたから。」
「そういうことか…、ここは危ないから帰るんだ。
ここは今酒のつまみを買うことが出来るような状態じゃ―――」
「だあからそれがいけねえつってんだよバッキャロー!」
ガイルがハイドを殴った。防具の上からだったのでガイルは拳を押さえながら一喝
「お前は何でも一人で背負い込みすぎなんだっつーの!
俺や、集会所のハンターや村専だっているってーのになんでお前だけで行くんだよ!
周りのやる気がねえ?んなもんお前がシバいてでも引っ張ってけばいいだろ!
うっとおしい?てめえがそう思ってるだけだ!
俺にしかない守る物?てめえだけじゃねえ、皆が持ってるんだよそんなもん!
何にも気づいてねえ癖にバカの一つ覚えで『守る』とか言うんじゃねえ!」
そして泣きながら更に一言
「お前が一人で、決死の覚悟で行くってんなら俺はお前の亡骸に酒かけながら笑ってやるよ!」
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