第六十五話 瓦解する最中に
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いだろう。
「落ちろ!」
デュアルビームガンが発射される。威力こそ兄弟機のノイエ・ジールには劣るがMSやMA、艦隊を相手にするには十分すぎる。陽電子リフレクターで一射目は防ぎきるものの、機動力を生かしそのまま抜き去って後ろから狙い撃つ。
正面にしか陽電子リフレクターを展開できないザムザザーやゲルズゲーはそれで後ろから貫かれ落とされる。振り向いたノイエ・ジールUの一見無防備なその背面を狙い、敵のMSが攻撃を仕掛けようとするが、議長はそれを予測し見切っていた。
「ゆけ、ドラグーン!」
不意を突こうとした連合のMSは逆にドラグーンによって不意を突かれあっさりと落とされる。切り抜けようとしたウィンダムの一機も何とか躱したと思った瞬間に八十ミリバルカン砲で撃ち抜かれ、そのままビームガンによって止めを刺された。
『やっぱり俺いらないですよね……』
そう言いつつ、クラウはリゲルグで接近戦を仕掛けてきたMS二機をナギナタで細切れにする。ノイエ・ジールUはIフィールドと全方位に攻撃できるドラグーンを装備しているのだ。実力さえ伴っていれば一騎当千など容易い。寧ろ一対多向けの機体という意味では普通のMSより上だと言える。
『ミネルバとラー・カイラムは後方で待機しているのに何で技術者の俺は最前線何だろうか?』
今回の戦闘はプラント防衛という面でいざというときの緊急時の為にザフトのエースであるミネルバとラー・カイラムは後方での待機を命じられていた。戦況はザフトの方が有利。戦力比で見れば連合はこれまでのどの大規模な作戦よりも少なく、切札もまともに持っていないのだ。当然の結果と言える。
「余興にもなりそうにないな――――」
議長は敵の手ごたえのなさに残念だとばかりに戦闘を続ける。未だにまともに攻撃を受けることなく、寧ろ敵のビームによる艦砲射撃などによって受ける味方の被害を減らす為にあえてIフィールドで盾となるように移動している。圧倒的なその機動力について行ける部隊はほとんどいない。必死になって移動ルートを予測して追いかけているクラウのリゲルグ以外に追随している機体はいなかった。
「さて、これ以上見苦しい姿を見せてもらっても仕方あるまい。演目の内容も実に陳腐だ――――君らには正しい魅せ方というものを教えてあげよう」
議長はあるデータを打ち込み送信する。Nジャマーの関係上、長距離間の通信をすることは当然出来ないが極短距離から伝言ゲームのように通信を送ることは可能だ。それを繰り返させることで目的の場所まで指令を送る。勿論、間違いが起こらないように幾つか保険を掛けたうえで送ってだ。
「さあ、君ら連合にとっての終曲と行こうか」
その言葉と共に戦局は大きく動き始める。
◇
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