第六十五話 瓦解する最中に
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フトの奴等に気付かれるからな。これで死んでおけや」
歪な笑みを消さないまま、彼は先程殺した自分の部隊のパイロットのことなどもう忘れたかのように再び戦場を移動し始めた。
◇
「やはりこちらに来たか、予定通りだな」
プラント近くまでたどり着いた連合艦隊を前に機体に乗り込んで準備を整えていた議長はそう呟く。
『議長、言っておきますが俺に期待しないでくださいね。冗談でもなく誇張でもなくパイロットとしての純粋な実力なら議長の方が上なんですから』
クラウが言うその言葉に偽りはない。元々隠し事をしても致命的な嘘をつくようなタイプではないクラウの発言から事実だろうと議長自身も判断する。尤も、自分の実力に自信を持っていることは隠しようもない事なのでクラウに言われるまでもない話なのだが。
「フッ、それは言い過ぎではないかね?君の実力はそういった単純な戦闘技能で測れるものではないだろうに」
とはいえ確かにシミュレーションでは彼の実力よりも自身の方が上だという自負はあるが、議長はクラウを過小評価しているわけではない。クラウの本職が技術者であることからそれは当たり前と言えることだ。
『そうですか……俺としては過剰な評価だと思いますけどね』
「私はそうは思っていないよ。では先に出撃させてもらう。ギルバート・デュランダル、ノイエ・ジールU――――出るぞ!」
そう言って出撃したのは赤、というよりも赤紫に近いカラーが施されたMAであった。連合に故意に流した情報によって造られ、ロゴスを相手にするために連合を離反した部隊が持ってきた機体だ。尤も、その離反は議長の手によって元々予定されていたもの、つまりスパイだったということなのだが。
ともかく、連合が持ってきたこの機体を最終的に仕上げたのは技術を持っていたクラウ自身だが、ノイエ・ジールUは大型のMAに見合わず、高性能な機体でありエースに相応しい機体のスペックを保持していると断言できる。そのピーキーな性能のせいでザフトでの開発はなかったものの、使いこなせるパイロットによって操縦された場合、その機体は圧倒的ともいえる性能を誇っていた。そして、議長はこの機体を使いこなせるエースクラスのパイロットである。
『あの機体は何だ!?』
『MAはこっちの領分だろ!ザムザザーでも何でもいい!アイツを止めてくれ!?』
「遅いな!その程度の動きで何とかできると思っているのか?」
赤紫に大型という目立つ機体であるノイエ・ジールUの接近を止めようと連合の部隊はザムザザーやゲルズゲーといったMA部隊を展開するが機動力や運動性能からしてまず話にならない。せめて機動力で対抗するのなら同じ高機動型のMAであるビグロや兄弟機のノイエ・ジールを持ってこなければ捉えることも出来な
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