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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
銀の戦騎vs青き槍兵 ─解放されし宝具─
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 弾丸よりも速く、凄まじい精度で急所を狙う死突の弾雨。
 それら全て悉く、疾槍の速度を上回る体捌きで弾き返す。

 突きを連打するごとに加速するランサーを追うように、いや追い越し続けるように(・・・・・・・・・・)フェンサーも速度を上げていく。

 ランサークラスには最速の英雄が選ばれる。

 槍兵として呼ばれる英霊の中でも、彼は選りすぐりだ。
 更に言えば、ランサーには獣染みた敏捷性も備わっている。

 その英雄の矜持を傷つけるほどの衝撃を、フェンサーはランサーに与えていた。

「チィ────!!」

 現在の自分に可能な限界の速度を上回られ、堪らずランサーが退く。

 まさに獣のような動きで、ランサーは一瞬にして十メートル近い距離を跳んだ。

 だがそれを見越していたかのように、フェンサーは魔術を撃ち放つ。

''uberschwemmen(水よ集え)──Ausbruch(爆熱しろ)──!!」

 二重詠唱(デュアルボイス)による、大魔術の同時発動。

 後方跳躍したランサーが地面に接する前に、フェンサーは二つの魔術を完了する。

 ランサーを閉じ込めるように大水が出現し、着地した瞬間の隙に超高熱が発生。
 周囲の空間が砕けるかと思うほどの噴火のような爆熱と、それとほぼ同時に起こる水蒸気爆発。

 ランサーの対魔力はCランクだ。

 いくら魔術を無効化する対魔力といえど、儀礼呪法に匹敵する大魔術をその身に受けて無事に済むはずはない。





 水霧が晴れたそこには────


 ────無視できないダメージを受けつつも、笑いながら立っているランサーの姿が健在だった。




「あー……効いたわ、今の」

 確実に勝機を見定めた大魔術の二つを、想像を超えた速度で抜け出そうとしたランサー。

 着地と同時に起こった爆発を、着地した瞬間に駿足の再跳躍で躱そうとしたのだ。
 驚くべき敏捷性だがさすがに完全回避とはいかず、身体には相当なダメージが残っている。

「チッ、あんな見事な大魔術をまともに食らったのは久しぶりだぜ」 
「お褒め頂いて光栄ですわ」

 軽口を叩いているが、ランサーの目は笑っていない。

 一般人が受ければそれだけで失神するであろう殺気を惜しげもなく放っている。

「見えねぇときには面倒くせぇと思ってたが、その最速の概念はもっとだな」
「別に凶悪ってほどでもないでしょう? セイバーやバーサーカーには力負けするから効果が薄いし、キャスターやアーチャーのように接近しづらい相手だと意味がない」

 この剣の概念が活かされる相手、状況は案外と限定的だ。

 速度のアドバンテージが有利に働くのは白兵戦のみであり、
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