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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
銀の戦騎vs青き槍兵 ─解放されし宝具─
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の異名を持つ神王、ヌアザの持つ神剣…………それを手にし振るうことが出来たのは、俺の知る限り奴以外に居ないはずだ」
「ふふ、正解。残念ながらこれはレプリカよ。でもダーナの民が命と業の粋を集めて結晶化させたこの剣は、人造兵装の中でも最高峰の宝剣。
 霊格は本物には及ばずとも、私が振るうこの剣は真実、不敗と謳われた銀の腕の奇跡を実現する」

 フェンサーの言葉に偽りはない。

 何よりもランサー自身が、その身で感じ取っている。
 己が知る伝説に語られし神剣が放つ気配と、全く同種の神気をあの剣からは感じられる。



 ならば事実がどうであろうと、彼の宝剣は不敗と伝えられた神剣と同じ脅威を有している……!



「鞘から抜かれれば、誰も逃れること能わずと云われた神速の剣閃…………味わってみる?」

 今日、彼女がライダーを斬り伏せた際にその身に宿した“絶対速度”の概念を、この剣は常時帯びている。
 というよりも、ライダーとの戦いで彼女が発動した神速は、この宝具の神秘を利用して行使した概念魔術。
 
 つまり相手がどれほどの超高速を発揮しようと、彼女のキャパシティで可能である限り、加速補正が掛かることで常に速度差という優位性を得られるということだ。

 戦いにおいて先攻を取り続けられるというアドバンテージが、どれほどの有利をもたらすかは考えるまでもない。

「────抜かせ……!」

 されど不可解なのは、その剣を所持する彼女の正体だ。

 真贋はどうあれ、あれはランサーと同じケルトにも纏わる宝具だ。
 ならばそれを手に戦った英雄の名を、自分が知らないはずがない。

 そして起動し続けている魔術刻印。
 一度魔術を走らせれば光は収まるものだが、フェンサーの腕は未だ緑光に包まれている。

 宝具解放の直前に発動された魔術。
 恐らく宝具の真の力を発揮させるために必要なのだろうが、宝具の力を解放する魔術など聞いたこともない。

 予期せず宝具の名を知ることは出来たが、彼女の正体は一切が不明のままだった。

「ふッ……!」

 槍兵は再び瞬速で踏み込んだ。
 フェンサーの言の全てが真実であるかはわからない。
 これが戦争である以上、嘘やハッタリ、ブラフである可能性だってあるのだ。

 ならばこの目で、この身で確かめてやろうと、ランサーは初撃から完全に殺す気で刺突を放った。



 結果は──────



「はぁ…………!」

 先程まで反応が追い付いていなかった疾風の突きを、余裕の表情で受け流される。
 本気の突きが通じなかったことなど無視して、尚もランサーは刺突を繰り出す。



 眉間、首根、左眼球、肝臓、右膝、右眼球、喉笛、左膝、心臓。



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