第二章 [ 神 鳴 ]
十九話 祟り神の憂鬱
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唐突な質問に諏訪子は戸惑う。僕は彼女の目を見つめながら話を続けた。
「今みたいに素直になっていいんだよ。難しく考えなくてもいいんだよ。世の中意外と単純なんだから」
僕は紫にする様に諏訪子の頭を撫でながら、
「お祭りの席で皆と一緒に飲んで分からなかった?祟り神として畏れても皆“諏訪子”が好きなんだよ。この国の信仰の根幹は多分そこだよ。それと国の事で辛い事や嫌な事があれば今みたいに僕に当たればいいよ、愚痴聞く位の役には立つから」
楓や早希にそんな事は言えなかった筈だ。ずっと自分の中に押し込んでいたのだろう。
「……なーんてね、色々偉そうな事言ってみました」
「……ほんとだよ。勝手な事ばかり言ってさ……でも…ありがと…」
再び無言になり静寂が訪れる。ただ虫の鳴き声だけが響く。
「…それ貰ってもいい?」
諏訪子は僕が持っていた徳利を指差しながら聞いてきた。
「いいよ、はい一献」
お猪口を渡し徳利を傾ける。諏訪子は注がれた液体を一気に呷った。
「ん!ってこれ水じゃん!なんでこんな紛らわしい事してんの!」
そう実は飲んでいたのは水でした。
「えっと…何と無く」
「まったく…虚空の行動ってやっぱり読めないわー」
「いやーそれほどでも」
「…褒めて無いってーの!」
ベシっと諏訪子に叩かれた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
「どういう事これ!!」
紫の大声で僕は目を覚ました。ゆっくりと上体を起こす。
「ん〜紫おはよう。で、どうしたんだい?」
「どうもこうも……どうして此処に諏訪子がいるの!!」
紫の指差した先つまり僕の隣にはオロオロしている諏訪子がいた。
「……どういう事虚空?」
「あぁ昨日の夜話し込んでたら諏訪子寝ちゃったんだよ。だから近かったこっちに連れてきたんだ」
「「 それだけ? 」」
「それだけだけど?」
僕達がそんな会話をしていると、
「ごーめーんーなーさーいーでーすー!」
「許すか!積もり積もったこの恨みその身に刻んであげるわ!」
ドタドタドタ・・・。
「「「 ……… 」」」
間違いなく早希と楓だろう。まぁ早希は自業自得だから助けるのは後でいいか。
「さてご飯にしようか」
「そうね、ご飯にしましょう」
「そうだね、ご飯にしよう」
三人揃って早希を見捨て食堂に向かう事にした。食事の準備中ずっと早希の悲鳴が響き渡っていたとさ。
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