第二章 [ 神 鳴 ]
十九話 祟り神の憂鬱
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半分死んだ様な目で僕を睨む楓。
「それと……昨日の事は忘れてください。お願いします」
今度は泣きそうな顔でそう言ってきた。なるほど楓は酔った時の事を憶えている類らしい。昨日の自分がよほど恥ずかしいのだろう。
「了解、忘れるよ。それとお粥作るけど食べるかい?」
「虚空様ご安心をー。楓様には向かい酒を用意して「飲まないわよ!あ〜頭痛い!早希の馬鹿……」
「とりあえず作ってくるから。早希、ちゃんと看病するんだよ」
「お任せですー」
すこぶる不安だけど…まっいいか。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
夜空に満月が浮かび、太陽のように光を降らせている。僕はそれを一人眺めながらお猪口の中身を飲み干す。
何時もの日課。此処に来てからも変わらずに続けていた。
「やっぱり此処に居たか、隣いい?」
黄色の寝巻きに着替えている諏訪子がそう言いながら僕の隣に腰掛ける。
「毎日毎日飽きないねー」
「そうだねー、ホント飽きないよねー」
「「 アハハハハハハッ! 」」
二人して笑いあう。
「二日酔いはもういいの?」
「うん、おかげ様で。ありがとね」
しばし無言。夜風が庭の木々を優しく撫でていく。
「祭りの事もお礼言わないとね。いろいろ考えてくれてさ」
「ん〜あぁ気にしなくてもいいよ。だってあの時言ったのただの建前だから」
「建前?」
諏訪子は不思議そうに僕を見る。
「そもそも国民の諏訪子に対する信仰はこの位じゃ揺らがない確信があるからね」
「…じゃぁ何で…」
「ああでも言わないと楓が折れなかっただろうし」
「違う、そっちじゃなくて祭りの方!」
あぁ諏訪子は祭りをしようって言った事が疑問なのか。
「そんなの簡単だよ。だって諏訪子の望みだから」
「……あたしの?」
「一年位見てきたけど、諏訪子は自分が祟り神なのが……王でいる事が嫌でしょ?」
「!?ち、ちがッ!」
諏訪子は僕の言葉に明らかに動揺を示した。
「君が国民を大切にしている事はよく分かる。でもどこか彼等から距離を取ろうとしてる」
「………」
「自分が祟り神なのが嫌?でも自分を否定できない。国を背負うのは辛い?でも国を捨てられる訳が無い。もっと普通に彼等と接したい?そんなの出来る訳が無い。って思ってるんじゃないかな」
「…よう…な…知った様な事言うな!!」
諏訪子が声を荒げて怒鳴ってきた。
「あんたに何が分かるっていうの!勝手な事ばっか言うな!」
「……お祭りは楽しかった?」
「え?」
僕の
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