第二章 [ 神 鳴 ]
十九話 祟り神の憂鬱
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諏訪子の所で働く事になったと村に帰り住人達に伝えた所、祝いとして宴を開いてくれた。村の女性達からは「紫ちゃんは置いてけー!」などと絡まれた。絡まれるのは困るが、まぁそれだけ紫が大切に思われているのは正直嬉しい。
村長や岩さんからは「いいですか!諏訪子様に失礼の無いようにお願いします!」と釘を刺された。信用無いな僕。
翌朝、荷物を纏めそれを紫のスキマに放り込む。便利だよねこれ。昨夜遅くまで宴会は続いていたけど僕達が出発する時には村人全員が集まってくれた。
口々に別れの挨拶をしてくる住人達に挨拶を返しながら紫にスキマを開いてもらう。出発する際に僕が、
「いろいろお別れの言葉を言われたんだけど、この子のスキマを使えばいつでもすぐ来れるんだよね」
と言った時の、
「「「「 そういう事は先に言え!!!! 」」」
村人全員からの非難の嵐もいい思い出だ。僕も紫もたまに顔を見せに戻ったりしている。
それから季節が巡り一年近くが過ぎた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
「「「 乾杯!!! 」」」
桜の花びらがひらひらと降り注ぐ宴会場に人々の声が響き渡る。
冬も過ぎ暖かな陽光が優しく降り注ぐようになり諏訪湖の近くにあった桜並木が満開に咲き誇った。それを見かけた早希が諏訪子に、
「お花見がしたいですー!」
と言ったのが始まりだった。
それだったら町の住人達も集めてお祭りをしようと僕が提案した。諏訪子と早希はすぐに話に乗ってきたのだが楓が最後まで反対してきた。
楓の言いたい事も分かる。
国の王と民があまり近すぎると王の威厳が下がる。王は君臨してこそ威光を保てるのだと。だけど今は諏訪子と民の距離感を縮めないといけないのだ。
理由は簡単。大和の国がその勢力を徐々に広げこの国に近づいているからだ。誰も口には出さないがその事実に不安を抱いているのは明白。
神は信仰によって存在する。それ故に信仰が揺らげば神はその影響で弱体化してしまう。だから諏訪子を身近に感じさせ大丈夫なのだと安心させる事が必要なのだ。と言う旨を楓に説明した。
渋々ではあったけど楓も了承し祭りの準備が始まった。町の住人達も最初は戸惑いを見せていたが準備が進むにつれその戸惑いは薄れていた。
そして当日となり諏訪子の乾杯の音頭で祭りが始まる。
「さぁ皆、今日は無礼講だ!全力で楽しもう!じゃぁ…乾杯!!」
「「「 乾杯!!!! 」」」
乾杯の後はまさにドンチャン騒ぎである。歌い、踊り、飲み、剣舞を披露している者もいる。諏訪子は上座として用意された場所でその光景を眺めながら民達と談笑している。
僕は少し離れた場所からその様子を眺めて
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