臨海学校 前編
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凄く強そうですよ?」
「ふむ……」
真耶の心配を流し、千冬はボールをとり響側に投げ返したあと、にやりと笑う。
点を取ったため今度は響たちのサーブとなる。
「これで二点目ももらうぜ!!」
宣言と共に、ドライブのかかった鋭い打球が相手のコートを抉る。
が、しかし、
「甘いな」
小さく聞こえた呟きが響の元に届いた瞬間は既に遅かった。
トンっという小さい音と共に、響側のコートの左端のラインギリギリにボールが落下した。千冬の方を見るとかなり低い位置でボールを捕球したようだ。
千冬はゆらりと立ち上がりながら響たちを一瞥すると、
「鳴雨、気を抜いていると……狩るぞ?」
その視線は先ほどの響と同じかそれ以上の強者のそれだった。
「……ハッ! 上等だよ!!」
響も拳を打ち鳴らしもう一度戦闘態勢に入った。
数十分後。
響と千冬は互いに肩で息をしながら対峙していた。得点は11対11、互いにマッチポイントである。
「やるな鳴雨。まさかここまで食いついてくるとは思わなかったぞ」
「そりゃどうも。でもまさか織斑先生がここまで本気になるとも思いませんでしたよ」
「勝負は何事も本気でやるのが私の信条でな。たとえスポーツであったとしても手は抜かん」
千冬は小さく笑いながら響に答える。
対し、響も小さく笑うと、
「じゃあこれでどっちが勝つか決まります。絶対手は抜かないでくださいよ?」
「ああ。貴様もな」
「冗談!! 手なんか抜くわけないっしょ!!」
響は答えながら最後のサーブを放った。
鋭角に入ったサーブを千冬は落ち着いた様子でレシーブする。レシーブされたボールを今度は真耶がトスをあげた。最初響とシャルロットがやった展開と同じスパイクだ。
「ハッ!!」
千冬は気合をいれてボールを放つ。ここまで熱戦を繰り広げているのにもかかわらず、そのボールに疲れは微塵も見られない。
だが響もこれを読み、その打球を受け止める。
「ぐっ!?」
……重い……!!
響の腕にかなりの重圧が加わる。まるでボールではないかのような重い球だ。
……だけど!!
「負けられっかよ!!」
響はその打球を返す。だが、
「上げる方向を誤ったな鳴雨」
響がレシーブをしてしまった方向は千冬のコートだった。しかも打球は完全なゆるゆるボール。それを千冬が見逃すわけがなく、
「これで……終わりだ!!」
千冬の声と共に打ち出された打球はもはや弾丸だ。それは響とはまったく逆の方向に打ち出された。
……ちくしょう、これで負けかよ。
ボールを見る
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