臨海学校 前編
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世話になる花月壮だ。くれぐれも従業員の皆様に迷惑をかけるなよ」
千冬が注意したあと、皆がいっせいに挨拶をする。
それに対し女将さんらしき人が柔和な笑みを浮かべながら挨拶を返す。するとおそらく前にいたであろう一夏に気付いたのか、千冬と話をしている。
すると、一夏が千冬に頭をつかまれ無理やりに頭を下ろされていた。
「アイツも大変だな」
「そうだねぇ……実際、織斑先生みたいな人がお姉さんだったら大変だよね」
「だな」
隣にいるシャルロットと談笑していると、
「それでは皆さんお部屋にどうぞ。海に行かれる場合は別館で着替えることができますのでそちらをご利用くださいな。わからないことがあれば我々に遠慮せずお聞きになってください」
女将さんが流暢に皆に告げた。皆はそれに返事をしたあと、それぞれ自分の荷物を持ち部屋へと歩き出した。
「えっと僕達の部屋は……響と僕とセシリアにラウラに布仏さんか、なんかいつもと同じ面子だね」
「みたいだな。とりあえず行こうぜ? ここじゃ熱くてかなわねぇ」
服の胸元をパタパタとしながら空気を送り込む響の姿はなかなかに様になっていた。
「響さん! その仰ぎ方ははしたないですわ!」
「うっせ、あちーんだからしゃーねーだろ」
セシリアがラウラと共に二人の下にやってきながら注意するものの、響は扇ぐのをやめなかった。
「そうかもしれませんが……」
「つーか本音は何処だ?」
響が周りを見渡すと本音がゆっくりとした動きで、
「おまたせー。いやーおりむーの部屋聞いてたら遅くなっちゃった〜」
「そうかい、じゃあ全員そろったことだしさっさと行こうぜ?」
「りょ〜かい」
五人は部屋に行くため歩き出した。
五人は部屋に着くと、それぞれ荷物を置き始めた。それなりに広い部屋であり、学生が泊まるにはもったいないぐらいだ。
「この辺もやっぱり普通の学校とは違うよなー。格差が広いねぇ」
しみじみと呟きながら響は近場の椅子に腰を下ろした。
「このあとどうするよ? 今日は終日自由時間だろ?」
「そうですわね。では海に行きませんか? せっかくあるのですし遊びましょう!」
行く気満々と言った感じでセシリアは拳を掲げた。
「おーセッシー行く気まんまーん。で、行くのー?」
「まぁそこにあるわけだしな。自由時間だし行かなきゃ損だ。うっし行くか!」
響の掛け声と共に五人は部屋を後にした。
部屋を出て水着に着替えるために別館への渡り廊下を歩いていると、響がふと立ち止まった。
そしてある一点を見つめる。
そこにあったのは、
『引っ張ってください』
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