暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜悪夢編
第四十六話 俺ってそんなに嫌な奴か?
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
発足した。検討メンバーには軍人だけでなく文官も含まれている」
俺が溜息を突くとメックリンガーも溜息を吐いた。

「とんでもない話だな」
「とんでもない話だ」
「……リューネブルク中将が言っていたよ」
「リューネブルク中将が? 何をかな……」
「恒星だと」
「恒星? なるほど、恒星か……」
メックリンガーが頷いた。

「今は未だ小さいがこれから何処まで大きくなるか、楽しみだと。あの事件の直前の事だが……」
笑っていた、良く俺に頼んでくれたと喜んでいた。ようやく借りを返せると言っていた。そして最高司令官を守って死んでいった……。

「……彼が守った恒星は人類史上最大の恒星になるさ。宇宙の隅々まで照らす存在になるだろう……」
「ああ、そうだな」
「……クレメンツ、乾杯しようか?」
「良いな、乾杯しよう」
リューネブルク中将、何時か報告する。卿が守った恒星が何処まで大きくなったかを、きっと喜んでくれるだろう……。



宇宙暦797年 9月 30日  ハイネセン  アレックス・キャゼルヌ



「マダム・キャゼルヌの作る料理は美味しいですね、ついつい食べ過ぎてしまう」
「俺は何時もそれを注意しているぞ、ヤン。健康診断という強敵がいるからな」
俺の言葉にヤンが笑い声を立てた。気楽な奴だ、俺にとっては笑い事では無い、なかなか深刻な現実なのだが……。水割りを用意してサロンに移った。ここからは大人の時間だ。妻は洗い物を、娘達はユリアンと遊んでいる。少しの間言葉を交わす事無く水割りを飲んだ。

「内乱が終結したな、勝ち残ったのはヴァレンシュタイン元帥か……」
「一番嫌な相手が勝ち残りましたよ、先輩」
「そうだな、一番嫌な相手が勝ち残った……」
「しかも最悪の勝ち残り方です。全ての権力が彼に集中しました」
ヤンの表情は渋い、多分俺も同様だろう。同盟にとっては厄介な事態になりつつある。

「あっという間でしたね、内乱がはじまってから半年で帝国の実権を握りました。ちょっと鮮やか過ぎるな」
小首を傾げている、感心している場合じゃないだろう。
「リヒテンラーデ侯と組んで門閥貴族を斃す、間髪を入れずにリヒテンラーデ侯を粛清した。鮮やかと言うより非情、容赦がない、俺にはそう見えるがな」
ヤンが頷いた。そしてグラスに口を付けようとして手を止めた。

「正しい戦略ではあります、リヒテンラーデ侯と組むことで門閥貴族達を反乱軍として討伐する。その後でリヒテンラーデ侯を斃した。一番弱い立場に居た彼が帝国の覇者になるにはそれしかありません。ああもあっさりと斃されるという事はリヒテンラーデ侯は全く油断していたんでしょう。信頼できる軍事指揮官、そう思わせていたのでしょうね」
「……リヒテンラーデ侯が彼を殺そうとしたと言われ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ