第百六十話 謀略の花道
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「そうよね、叛徒を撃滅したら、召還するようにお父様に話してみるわ」
「それは宜しいかと」
「他にも居るらしいんだけど」
「へーどんな人なのですか?」
エルフリーデも興味を示し始める。
「何でも元々は独立商人出身らしいんだけど、両親の失った為に、生活とかの面倒を見てその後、士官学校へ入校して以来、此方との情報の遣り取りをしているらしいわ」
「けど独立商人出身者など信用できるのかしら?」
オットリタイプのヴィクトーリアが疑問を示す。
「その点は心配要らないらしいわ、第5次イゼルローン攻略戦でも、敵が平行追撃を行う事を知らせてきてるし、今回のヴァンフリート4=2後方基地の存在も知らしてきているわ」
「まあ、それなら安心ですわね」
「他にもいるんだって」
「どんな方なんですか?」
皆が興味を示す中、その言葉を一字一句忘れないように記憶するラチェット・アルタイアの姿があった。彼女は誰も気が付いていないと思っていたが、完全にスパイと知られていてテレーゼの謀略に利用されていたのである。
彼女は寄宿舎へ帰舎後、今回の情報を纏めてフェザーンへと報告した。近年まれに見る重大情報だと喜びながら。
宇宙暦794年 帝国暦485年5月10日
■フェザーン自治領 自治領主オフィス
フェザーン自治領では自治領主アドリアン・ルビンスキーが補佐官ニコラス・ボルテックからGIO48に潜り込ませたスパイからの重大情報に付いて報告を受けていた。尤もボルテックに伝わる前に既にルビンスキーは事態を知っていたのであるが。
「ほう、帝国は同盟にスパイを送り込んでいると言うのか」
「はい、自治領主閣下、過日の皇女主催の宴に参加した107号から皇女自らが皇帝と軍務尚書の話を聞いたと話していたそうです」
どんなもんだとばかりにボルテックが報告するが、既に事実を知っているルビンスキーは始めて聴いた風に演技する。
「なるほど、それは重要な情報だが、裏付けは取れたのか?」
「はい、相当な迂回をしていますが、数名の人物に同盟が作戦を行う前と作戦後に相当な額の資金が振り込まれています」
「ふむ、でその人物は?」
ルビンスキーは非常に興味が有るように演技をする。それを真に受けたボルテックは益々熱心に説明する。
「はい、一人は、ミンツ大尉と申しまして、亡命貴族の妻を持って以来、資金の振り込みが始まりました。この男、統合作戦本部長シトレ元帥の部下であるキャゼルヌ准将の副官をしていましたが、790年に最前戦へ移動の上、戦死しています」
「謀殺の可能性も有るわけだな」
「はい、本来軍政畑の人材がいきなり最前戦へ移動させられていますので、その可能性もなきにしもあらずです」
「ふむ、他には?」
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