暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
黒の剣士と紅き死神
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の帯じゃない訳か」
「世界樹の天辺でたまにMobがドロップする《水晶糸》を鍛錬して作った布に《竜の逆鱗》を添加して出来る《攻撃用アクセサリ》、《ドラゴンテイル》。カテゴリー的には両手中距離武器になる、が、片手で扱えない事もない」
「何でまた……いや、そうゆうことか」

この特異な武器の一番の特徴は殺傷力が皆無なこと。《ドラゴンテイル》などと厳つい名前を持っている割にはソフトな打撃力が売りのおかしな武器だ。
当然専用スキルなどは無く、ALO開闢以来使い手が居た事もない。


そもそも現実世界においてもこれは既に廃れた武術である。《二天一流》を基礎に古武術を現代武術に昇華した水城流にはそういった古の技術が垣間見える事があるが、この《布術》はカビ臭い倉庫からわざわざ掘り出してきた古い紙切れから学んだ、という位マイナーなものだった。

何故そんなものを修得したかという理由は2つあって、その内1つはキリトが察した通り―――

「まだ何か隠し技があるのか、お前」
「……分かるか、やっぱり。まあ、まだ未完成だから使わないがな」

話は終わりと言うように両刀を構え直す。キリトもすぐさま思考を切り替えてそれに応じる。


動き出したのは全くの同時。
キリトが《ソニック・リープ》仕掛ける。レイはそれを真っ向から受けた。

筋力値や体格、衝突のタイミングなどの複雑な演算が行われ、僅かにレイが押される。

さらにキリトはもう一方の剣でソードスキルを上書きする―――《剣技連携(スキルコネクト)

「おおおぉぉぉっ……!!」

エクスキャリバーが甲高いサウンドを発しながらレイに迫る。

《バーチカル・スクエア》―《スター・Q・プロミネンス》―《サルベージ・フクラム》―《ヴォーパル・ストライク》

「……くっ!!」

これらはSAOからあってALOに引き継がれた剣技はほぼ全て彼が作った。故に対人戦闘において彼が警戒しなければならないのはOSSや魔法攻撃で剣技を防御し損なう事は皆無と言っていい。

だが、キリトはそこらの一般的なプレイヤーとは違う。システムアシストに意図的にブーストを加えるシステム外スキルにゲーム初期から精通し、誰よりも効果的に運用した彼の剣技はもはや螢が作った技を自分のものとして昇華させていると言って過言ではない。

キリトのアバターを構成するポリゴンにノイズが走るほど勢いよく放たれたヴォーパル・ストライクはレイの肩口を貫き、残存HPを残り数ドットまで減らした。
しかし、ここでキリトを技後硬直が襲う。もちろんレイがそのスキを逃す訳は無く、両刀の強烈な一撃がキリトを吹き飛ばした。

だが、こちらもHPを削りきるには至らない。




闘技場は不気味なほど静まり返り、一心に2人の決着
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