マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
黒の剣士と紅き死神
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―たった1つの方法を除いて…………。
「来い」
初めて発せられるレイの言葉。それにはたった1つの意思―――『全力でぶつかって来い』という、ある意味では挑発の成分が含まれていた。
「……分かった」
キリトはそれに応じて左手を背に回し、実体化した剣を抜き放つ。
輝く黄金の剣、伝説級武器、《聖剣エクスキャリバー》。
《二刀流》―――10種のユニークスキルの中で《勇者》の資格を持つ者が所持する『最強の矛』。
レイはそれに応じるように小太刀を抜くと、大太刀と重ね合わせる。途端、瞋恚の紅蓮が吹き荒れ、その手に新たな得物を生み出した。
《両刀》―――カーディナルシステムがプレイヤーの感情を鋳型に生み出し、《力の求道者》に与える『最凶の矛』。
「行くぞ」
「ああ」
キリトが砂塵を巻き上げながら高速で接近、エクスキャリバーを斜め上から振り下ろす。レイはそれを紅蓮双牙の片刃で受け、その威力を殺さないよう手首で両刀を回転させ、横から迫ってきた右手の片手剣をパリィ、左手のエクスキャリバーを体の脇へと受け流す。
両手を大きく開く状態になってしまったキリトに向かって体を半回転させながら体当たり、さらに半回転させながら両刀をキリトの胴に叩き込む。クリーンヒットすれば重装タンクのプレイヤーすら瀕死に追い込む強撃をキリトは空中で体を縮める事で何とか回避し、大技を空振ったレイの側頭部に蹴りを放つ。
予想外の追い討ちにレイが思わず片膝を突くと、好機と見たキリトが空中で前転して遠心力をプラスした双刀による縦切りを敢行する。
レイは転びながらも両刀をかざし、それを正面から受け止めた。
「……ォ、ラァ!!」
体重をかけてくるキリトを起き上がり際に蹴り飛ばし、さっきの仕返しをすると共に今度は仕掛けに行く。大振りの上段斬りと入れ替わりに下から迫ってきた凶刃をそれぞれ二刀を交差させて防ぎ、後方に飛び退く。
迂闊に仕掛ければ先の二の舞になることは必至なため、すぐには仕掛けない。しかし、それはレイにとって格好の餌食でしかなかった。
着地の瞬間、レイの両刀から離した左手が閃き、いつの間にかほどかれていた黒帯がまるで槍のように放たれ、キリトの片足に巻き付く。体勢を崩して空中で暫しの遊泳をすることになったキリトに向かって接近、両刀で斬り付けようとしたその時、キリトの右の片手剣が淡いライトエフェクトをまとっているのに気がついた。
(何ッ!?……いや、流石、と言うべきか!!)
通常技でしかない両刀の攻撃はシステムアシスト+ブーストによって加速した《スラント》に弾かれ、今度こそまんまと距離を取られる。
「なるほど……それ、ただ
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