マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
戦神―古の秘言
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ない」という気持ちが渦巻いていた。
―――あの紛らわしい光剣使いと共に突然現れて彼女を救ってくれた、あの男はこの程度ではやられるはずがない、と。
フィールド上空のリザルトウィンドウに表示されているレイのHPが2割を切る。
「……あなたはそんなものじゃないでしょ」
自分にしか聞こえないほど小さな呟き。ほぼ無意識の内に口を突いて出たそれの余韻が耳からきえ去った時、レイを包んでいた炎塊が弾けた。
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大太刀4連範囲攻撃《螺旋刃》風7割・物理3割
この世界の攻撃手段は大別して『物理』と『魔法』しか存在しない(ブレスは魔法で相殺出来るから魔法と仮定して)。
レーヴァテイン・オリジンは紛れもなく炎の塊だ。物理攻撃が出来るはずがない。よってこの炎の奔流を防ぐには魔法か強固な物理盾が必要だが、前者は俺の俄魔法スキルでは太刀打ち出来る訳はなく、後者は持っていないので問題外だ。
俺が唯一魔法的な力を振るう方法は『焔鎧』か『ソードスキル』を使うしかない。レーヴァテイン・オリジンの炎を上位火属性魔法と仮定してそれを相殺するには同レベルの魔法、この場合は上位ソードスキルをこの『剣』の核に当てればいい。
発想としてはキリトの《魔法破壊》と同じロジックに基づくものだ。
「……不死身かい?旦那は」
「いや、負けられないだけさ―――そろそろネタも尽きたろ。終わりにするぞ」
「……来な」
大太刀を後ろに引いて腰を落とし、突進系のソードスキルが発動しない角度に調節すると、システムのアシスト無しで疾走する。ハンニャはそれを止めようと、炎を両脇から挟み撃ちにするように操った。
レイは視界を炎が覆った時、大太刀の角度を変え、システムの加速に身を任せる―――技は《山津波》。
その単純な軌道を防ぐのは優れた動体視力を持つハンニャにとって造作も無いことだった。附に落ちないながらも大太刀を弾き、レイに止めを刺す。
―ザシュ……
「…………!?」
手応えはなく、代わりに自分の腹からダメージエフェクトが血のように出ていた。
「ほとんど運任せに勝てたようなものだからな。ちょっとばかし種明かしだ」
そう言いながらハンニャの腹に刺した貫手を抜くと、その体を丁寧に地面に置いた。
「生身なら、重要臓器の2、3個は抉り出してるだろうな」
鳴り止まない歓声の中、インターバルの時間を知らせるアナウンスが入る。レイは倒れたままのハンニャに見向きもしなかった。
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