マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
戦神―古の秘言
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」
「何?」
ふと思い立ってシノンに頼み事をすることにした。
「《視力強化》の《軌道追跡》でハンニャの剣筋を見ててくれるか?」
「……いいわよ」
視線を戻したシノンの目の色が一瞬変化する。《視力強化》のスキルMod《軌道追跡》は対象とした武器の軌跡を表示し、その残像から速度までを割り出すものだ。シノンはメインでALOをやっている訳ではないが、《軌道追跡》はそこまでスキル要求値は高くない。シノンのスキル値でも十分な筈だ。
カウントがゼロになり、俺が予想していた光景が目の前に広がる。
相手と交差するように背後に抜けたハンニャがその残身を解くと、相手のHPが遅れて消滅した。
「な……!?」
「見えたか?」
息を飲むシノンを促し、シノンが捉えた映像をウィンドウに写す。そこには―――
「……一体、何回斬ってんだ、これ」
相手の体には無数の斬撃線が刻まれていた。シノンに礼を言うと、控え室に戻るべく立ち上がる。
「……勝てるの?」
「さあな。だが、負けるわけにはいかないんだ」
「……そう」
シノンは最後に何か言ったが、周りの歓声でよく聞き取れなかった。だが、読唇したのが正しければ……
「今だけ、あんたを応援してあげる」
「……ありがとう」
そう言うと俺は改めて控え室に歩いて行った。
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フィールドに上がるとハンニャは既に抜刀し、その巨剣を地面に突き刺していた。
「よぉ、旦那。浮気かい?」
「は?」
「人が戦ってる時に上でイチャコラしてただろ。見てたぜ?」
「してない」
へらへら笑うハンニャに白けた視線を浴びせ、黙らせる。確かに、キリトに寄ってくる女の子をそのネタでちょこっと弄るのは俺の悪癖だという自覚はあるので気を付けよう、と心を新たに大太刀を抜刀、突進系の構えを取る。
「1つ、いいかい。旦那」
「何だ?」
「あんた一体、何者だい?」
「……あんたが勝ったら教えてやるよ」
カウントゼロ
―DUEL!!―
――ギィィィィィン!!!!
タイムラグ無しの剣撃がハンニャの側で起こった。ハンニャはさっきの小競り合いと一回戦で抜刀状態からの超神速の斬撃を放っている。俺はそこに奇妙な感触を得ていた。
シノンの視界から見たその動きは距離を詰める毎に加速していた。
ここで仮説を立てる。
超神速の斬撃は助走無しでは使えない。
その剣筋は未だに見破れないが、仮にそれがあっているとすれば先手を取ることも不可能ではない。
移動の『入り』を押さえてそれを封じさえすれ
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