マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
戦神―古の秘言
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試合を終えて俺は観客席に来ていた。
試合事のインターバルは3分。一回戦と二回戦のインターバルは5分あるので何だかんだで10分位の時間があるからだ。事実、遠目にはユージーンやキリト、さっきまで剣を交わしていたアードの姿があり、予選落ちして暇をもて余したのか隣にはカイトとリオ、応援に来ていたのだろうホルンとユウリの姿もあった。
それらには手を振るぐらいの挨拶で済まし、闘技場に視線を落とす。俺の居る場所はフィールド全域を見渡せる最上階エリア、ハンニャの試合を少しでも見るためだ。
「あれ……?」
だからだろうか。そのプレイヤーに気がついたのは偶然だった。
一応は知らせてはおいたが、本人が興味無さげだったので会うことは無いと思っていたのが……。
近づいていって声をかける。
「シノン?」
「わきゃあ!?」
ビクッ、と全身を震わせ、尻尾や耳をピンと張って跳び上がる。
「ど、どうした?」
「……なにも」
何故かいきなりご機嫌斜めなシノンはギロっと俺を睨み上げて来る。まだ驚いた時の呼吸が整わないのか、ゼィゼィと息を荒くし、顔は赤く上気している。
シュチレーション如何によっては誤解されかねない状態だが、その当のご本人が剣呑なオーラをゴゴゴと放っているので間違えようは無い。
「応援に来てくれたのか?」
「べ、別にあんたのじゃ無いし!!」
……これもツンデレ族の文法に当てはめれば、まあ嬉しいことなのだが、大方予想はついているので後数分はシノンで暇を潰す事にした。
「キリトか」
「な、何言って……!!」
「……はいはい。『皆の』応援ありがとうな」
図星か。普段は冷静沈着なスゴ腕スナイパーが羞恥による赤面をしているのを眺めているのはかなり面白いが、後で物理的に仕返しを受けることは必至なのでこれぐらいに自重する。
「ほら、始まるぞ。ハンニャ……シノンにはアルマって言った方がいいか。強いぞ、あいつは」
「……GGOでも有名でしょ?高難易度のダンジョンや最新のダンジョンにソロで籠って踏破する。銃の改造や製造にも信頼がおける、って」
「……そこまでは知らなかったな」
メニューウィンドウを開いて公式に運営されている《優勝者予想》のオッズを可視モードにすると、シノンにも見せる。
「やっぱりユウキが1位か。次がユージーン将軍……ハンニャは真ん中辺りか」
「あれ、あんた下から数えた方が早いじゃない」
「うっせ……さっき苦戦したからだろ」
ちなみにこの予想にはユルドをかけるシステムが上限額5万で設定されており、大穴―――不本意ながら俺とか―――が優勝すれば結構な額が手に入る。これは準決勝まで変更が利く。
カウントが表示され、闘技場の緊張が高まっていく。
「シノン……
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