第十二・五話「贋作 ~fake~」
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「ありが、とう」
轟、と閃光が煌めき、女性の体を呑み込んで天井を突き破って空高く昇る。
「束様……」
「…ん。大丈夫大丈夫。初めてじゃないんだからさ。ほら、笑おう?にぱー☆」
自分で頬を伸ばして笑顔を作る月兎だが、クロエの目には空元気に見えてしまう。
「そうですか。それで、彼女を造ったのはやはり……」
「うん。例の教団だよ。さっさと潰しに行こうか。そんでもってあの性悪、今はナイア神父だっけ?あいつをぶっ飛ばそう」
「ええ。奇跡の魔女『ベルンカステル』を、侮ったことを後悔させなければいけませんね」
「ヤメテ!!その名前は黒歴史だから!!」
「格好いいじゃないですか。千年の刻を生き、幾つもの世界を渡った魔女。中二ですね、分かります」
「いっくんが教えたのか!?ナゼェ、ルラギッタンディスカ!?」
いつもの調子に戻った月兎の様子に、密かに安堵しながらクロエは、右手の指輪をはめ変えてベルトにかざす。
〈テレポート!ナウ〉
陽気に会話しながら、二人の姿は施設の中から消えた。
「ちょ!あれ?くーちゃあーん!私、ここにいるよー!クロエさーん!!」
訂正。姿が消したのは、クロエだけであった。
数時間後。衛星から、無人島で謎の爆発が起きた異常を察知した某陽気な大国の軍が駆け付けると、その瓦礫の中から頭がアフロになった一人の女性が救助されたことは、蛇足であろう。
救助された女性は、隊員に発見された時、こう呟いたそうだ。
「やられたらやり返す。倍返しだ!」
ドヤ顔であったことも、追記しておく。
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