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銀河英雄伝説〜悪夢編
第四十五話 俺は宇宙一のヘタレ夫だ
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で黙って仕事をしろって言うんだ。怒鳴りつけてやりたかったが相手がヒルダだからな、諦めた。なんてったって原作世界では屈指の恋愛音痴のお嬢様だ、しょうが無いさ。もっとも俺は恋愛音痴を超える恋愛白痴、手の付けられない阿呆だ。

いかんな、落ち込むだけだ、仕事の事を考えよう。ラインハルトをフェザーンに送る、フェザーンに居る不平貴族は必ずラインハルトに接触するだろう。ケスラーには何も知らせないようにしよう。ケスラーからの報告とラインハルトの報告を突き合わせる事で情報の信憑性を確かめるとしよう。

問題はフェザーンの動きだな、連中がどう動くか。不平貴族という駒は幾らでもある、果たして何を企むか。ラインハルトが何処まで探れるかは疑問だな。いや、或いはフェザーンが直接ラインハルトに接触する可能性も有るか……。フェザーンにとっては利用しやすい駒だろう。可能性は有る。

原作通り皇帝誘拐を企むかな、実行者がヘボ詩人とラインハルト? 嗤えるな、そいつは。ラインハルトが一体どんな選択をするか、楽しみでもある。警告はしておいたからな、馬鹿はやらないだろう。だが馬鹿をやりそうになったらアンネローゼを不幸にするなと叱り飛ばしてやる。彼女との約束だからな、但し一度だけだ、二度目は無い。

駒が増えれば選択肢も増える、或いはフェザーンが接触するのはブラウンシュバイク、リッテンハイムという事も有るだろう。こっちも警戒が必要か……。国内の隙を連中に見せることは出来ない。金だけでは足りんな。ブラウンシュバイク、リッテンハイムの新たな名前が決まったら政府主催による親睦パーティーを開く。その時、俺はブラウンシュバイク、リッテンハイムに挨拶をし、彼女達と親しく話をする。かつて敵対したことなど無かったかのように話をするのだ……。

帝国宰相兼最高司令官が両家に礼を尽くす。百万帝国マルクの年金と合わせて両家のプライドを十二分にくすぐることが出来るだろう。人間、何が屈辱かと言って無視されることほど大きな屈辱は無い。そういう事をしてはせっかくの百万帝国マルクが何の意味も無くなる。

誰の目から見ても優遇されていると分かれば国内での反政府勢力に担がれる危険性は少なくなる筈だ。フェザーンの接触も可能性は低くなる。失敗は出来ん、アンスバッハ、シュトライトと打ち合わせをする必要が有るな。一度やっておけば二回目、三回目は一回目をアレンジすればいい、それほど難しくは無い筈だ。

ダンスを要求されるかもしれん。難しいな、右腕が弱っているから相手を支えられないし右足も駄目だ。ダンスは無理だな、代理で誰かに頼むか。若くて女性受けのする奴……、ミュラーとロイエンタールだな、この二人に頼もう。後はロイエンタールに馬鹿をするなと釘を刺しておかないと。

……アンネローゼは、……来ないだろうな、だがヴェス
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