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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
短編 一輝とお姫様 C
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一つの話をする。

「じゃあ、マヤが自分の話をしてくれたところで、次は俺の話をしよう。つっても、知ってるかもしれないけど。」
「ううん、聞かせて。一輝のことは先に日本に来てたダムが調べただけだし。」
「じゃあ、かなりダイジェストに。俺、元々はこの苗字じゃなかったんだ。」
「だから、寺西って名前を調べても何も出なかったんだ。」
「そっか、少しは調べたんだっけ。じゃあ、もとの苗字が何か知ってる?」
「ううん、それはなんだか隠してるような感じがしたから、調べてないよ。」
「うん、正解。俺は奥義を習得するまで、苗字は信頼できる人以外には言わないことにしてるから。」
「いいの?そんな話を聞かせてもらって。」
「ああ。マヤは信頼に足る人だって、そう思うから。」

一輝は少し間を置き、

「俺のもとの苗字は、鬼道。日本では良い意味でも悪い意味でも有名な、道を外した陰陽師の名前だ。」

そう、話を始めた。
そこからは、一輝自身は陰陽師の修行に対して乗り気ではなかったこと、父親の言うことを気にせず、自由にしていたこと、家が妖怪の群れに襲われたこと、一輝がそれを退治し、親玉である白澤を殺したことを、五分程度で話した。

「・・・と、これが俺についての話。」
「・・・なんだか、私とはまったく逆の話のようで、でもどこか似てる話、だね。」
「ああ。だから話そうと思ったのもあるよ。だから、俺にはマヤの気持ち、少し分かる。」

一輝はそこで、一番話したかったことを話す。

「だから、俺はマヤに二つ、選択肢を出せる。」
「選択肢?」
「そう。明日は行きたいところを回る。これは決定としても、その後のことはまだ決まってないからな。」
「・・・それは、どんな選択肢?」
「一つ目は、今マヤと入れ替わってる妖怪に全部押し付けて、この生活を続ける。」
「それは可能なの?」
「ああ。いまマヤと入れ替わってる妖怪の目的は、やりたい放題することだったけど、マヤを殺せなかったことでそれは出来なくなった。
 アイツはマヤを殺せるまではこのまま演じるしかないし、演じ続けた結果、妖怪としての部分が消えて人間に、本物のマヤになってしまう。」
「それでも、私の戸籍とか、住む場所は?」
「まあ、戸籍は俺のコネで作って、兄妹・・・いや、姉弟なのか?まあ、そのどっちかには出来る。住む場所もここでよければここに、嫌ならもう一室とればいい。」
「もし私がそれを選択したら、一輝はやってくれるの?」
「ああ。ただし、アルバイトはすることになるだろうし、俺の仕事も少し手伝ってもらうことになると思う。さすがに、命の危険があることはやらせないけど。」

一輝がそう言うと、マヤは次に促す。

「で、二つ目は入れ替わってる妖怪を退治して、マヤがそこに戻る。」

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