23部分:第二十三章
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ね」
「そうそう簡単に尽きるものではない」
役もまたそれを肯定してみせる返事を述べた。
「数は幾つでもある」
「じゃあ迷うことはなく」
「使うとする」
こう言って札を投げた。するとその黄色い札は全て小さな鬼になった。黄色い色をして頭に一本の角を持つ小さな鬼達であった。彼等はそれぞれ部屋を調べだした。本郷はその鬼達を見つつ役に声をかけてきた。
「今回は使わないと思っていたんですがね」
「それは私も同じだ」
役は本郷にこう言葉を返した。
「ただの旅行だったしな」
「予想外ではありますね」
「しかし別にどうとも思わないな」
「思いませんか」
「アクシデントは付き物だ」
平然として出した言葉だった。
「何事にもな。だから驚かない」
「そういうことですか」
「そうだ。さて」
ここまで話したところでちらりと鬼達を見るのだった。
「そろそろだな」
「何かあれば見つける頃ですね」
「人の目は案外未熟なものだ」
役は静かに言う。
「見えないものが実に多い」
「確かに」
本郷もそれを否定しない。
「俺もそうですしね。どうにもこの目は見えているようで見えていません」
「君の目は千里眼だと思うが」
「それでもですよ」
苦笑いで役に言葉を返すのだった。
「案外近くのものが見えなかったりしますし」
「老眼ではないのか?」
「二十代で老眼ですか?」
役の言葉に思わず苦笑してみせての言葉だった。
「そんなの有り得ますかね」
「ないか。流石に」
「ですね。ないですよ」
また笑っての言葉だった。
「要するに戦いの為以外の術も身に着けておくべきかって考えてるんですよ」
「そういえば君の術はそれ以外にないな」
「そうなんですよね。そっちの術は全部役さんですね」
「式神は色々使える」
役もこう答える。
「こうした用途にもな」
「そうですよね。さて」
本郷はあらためて式神達の動きを見る。部屋のあちこちだけでなくダンボールまで見回っている。見ている場所が実に細かい。
「何かあればもうすぐ見つかりますね」
「そうだな。むっ」
役はここでその中の一つが部屋の中央で立ち止まったのを見た。
「どうやら本当に何かあったようだな」
「みたいですね。さて、何でしょうね」
「それが今からわかるな」
他の式神達もそこに集まる。そうしてその部屋の中央の場所をその小さな手で叩いていく。役はそれを見て部屋の中央に移動したのだった。
そのうえでまずは式神達に一瞥した。するとそれだけで彼等は元の紙に戻った。それを拾って懐に収めてから。その中央に自らの手をやったのだった。
「どうなっていますか?」
「隠し扉だな」
役は本郷に対して答えた。
「これはな」
「隠し扉ですか。増々怪しいですね
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