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もう一度空へ
第三章

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「来たんだよ」
「それはまさか」
「戦いたいね、そして村人達を救いたいね」
「私は今はただの足の悪い鍛冶屋です」
 それに過ぎないとだ、男は項垂れる顔で答えた。
「最早」
「そしてその君がここにいる」
「特に話すことはないですが村に置いてもらっています」
 鍛冶屋としてだというのだ。
「このことは有り難いと思っていますが」
「そしてその恩義にだね」
「それはその通りですが」
「しかし君はもう」
「満足に歩くことも出来ません」
 その引き摺る足ではどうしてもだというのだ。
「その私が何をしようとも、しかも」
「かつての君かい」
「私は驕っていました」
 苦い顔でだ、男は青年に告げた。自分の横に立つ彼に座ったまま顔だけ横にやってそのうえで見上げている。
「その為に落ち足を」
「かつてはね、けれど」
「それでもですか」
「さっきも言ったね、僕がここに来たのはね」
「私の本心を聞く為ですか」
「村人達を救いたいのかな」
「本心を言えというのですね」
「言わなくてもいいけれどね」
 微笑んでだ、青年は男にこうも言った。
「君の言葉を聞きたいよ」
「そうですか」
「じゃあどうするのかな」
 青年はあらためて男に問うてきた。
「これから」
「若しも足が無事なら、いえ」
 男も意を決して青年に告げた。
「そうでなくとも」
「キマイラを退治したいね」
「別のキマイラですが」
 だがそれでもだというのだ。
「これも因縁でしょうし」
「じゃあ行くね」
「剣はあります」
 今度は青年のいる左ではなく右を見た、そこには彼が今造り終えた剣があった。それは鋭く白い光を放っている。
「ですから」
「よし、それじゃあね」
「足がこれでも」
「ああ、そのことは心配しなくていいよ」
「といいますと」
これでね」
 男は右手を軽く下から上にやった、するとだった。 
 男のその引き摺っていた方の足が光った、そして。
 青年は男にだ、笑顔でこう告げた。
「立ってみて」
「まさか」
「そのまさかだよ、じゃあいいね」
「はい、それじゃあ」
 男は青年の言葉に従い立ってみた、すると。
 足は普通だった、もう引き摺ることはなかった。
 そのことに驚く彼にだ、青年は微笑んで再び言って来た。
「これだけじゃないよ」
「まさか」
「そう、そのまさかだよ」
 さらにあるというのだ。
「家の外に出ればいいよ」
「では」
「君がそう決めたのならね」
 それならというのだった、そして。
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