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マッドライバル
第二章
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「わしはこのままじゃがな」
「そうだったんですか」
「まあわしはこのままでよい」
 見れば坂上は一八〇ある、背筋はしっかりとしていてかなり白くなった白髪も豊かだ。顔には皺が少なく目の光も強い、白衣の下の黒いタキシードが目立つ。
 そのスタイルでだ、こう言うのだ。
「天才科学者の容姿そのままじゃからな」
「だからですか」
「そうじゃ、まあとにかくじゃ」
「尋常学校一年からですか」
「あ奴とは犬猿の仲じゃ」 
 それで何度も衝突したというのだ。
「わしは小学六年で賢者の石を造り出しその金で中学から大学院まで進んだがな」
「大学院まで、ですか」
「あ奴も同じ時に賢者の石を開発し海外で学んだのじゃ」
 それで二人共今に至るというのだ。
「わしはフランス、あ奴はイギリスでそれぞれ大学で学んだ」
「あれっ、その頃欧州戦争中でしたよね」
「丁度第二次世界大戦の頃じゃった」
 その頃に欧州に留学していたというのだ。
「日本人で敵性国民がどうとか言うう奴も差別しようとする奴も片っ端から洗脳して入学したのじゃ」
「その頃から無茶されてたんですね」
「洗脳は無茶か?」
「はい、かなり」
 坂上君は常識の範疇から池上に言った。
「相当酷いことされてますね」
「何、殺人ではないから無茶ではないぞ」
「そうですか?」
「まあフランスでわしに絡んできた訳のわからぬゴロツキで人体実験はしたがな」
 それはしたというのだ。
「これ位は何でもないであろう」
「何でもありますけれどね、それで英仏に分かれて」
「うむ、死闘を展開しておった」
 戦争中に二人でそうしていたというのだ。
「そして戦後帰国して今もじゃ」
「成程、それでなんですか」
「この前は東京ドームを破壊したがな」
「ああ、巨人来年もホーム使えないですよ」
「構わん」
 巨人、人類の普遍の敵のことはどうでもいいというのだ。
「巨人なんぞ一億年は最下位になっておれ」
「そうですか」
「わしはヤクルトファンじゃ」
「倉田博士は横浜ファンでしたよね」
 応援している球団もそれぞれ違うのだった。
「その関係でもですか」
「争っておるのう」
 実際にそうだというのだ。
「わしもな」
「そうですよね」
「それでじゃが」
 池上は坂上君にさらに話した。
「今開発しているメカじゃがな」
「今度はどんなのですか?」
「戦艦を考えている」
「今度は海ですか」
「いや、空じゃ」
 そこだというのだ。
「空飛ぶ戦艦じゃ」
「というと空を飛ぶ大和ですか?」
「宇宙戦艦ではないぞ」
 あくまで空を飛ぶだけだというのだ、その戦艦は。
「レーザーを装備したな」
「それで倉田博士と戦われるんですか」
「そのつもりじゃ、わしがそうするとな」

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