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すみれ姫
第六章
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「私はこの公園の主な花をこれにしました、四季の花達の中でも」
「そうだったのですか」
「それで、です」
 フランツは心の中で意を決した、それでだった。
 そのうえでだ、こうリサに言ったのである。
「姫、どうか」
「はい」
 リサも応える、無意識のうちに。
「私とずっとこの菫達を観て頂けますか」
「ずっとですか」
「はい、ずっとです」
 こうリサに言ったのである。
「民達と、皆と共に」
「この菫達を」
「どうでしょうか」
 心の中にどうしようもない緊張と恐怖を感じながらだ、フランツはリサに問うた、
「ここで永遠に」
「今わかりました」
 リサもだ、心の中にどうしようもないまでの緊張と恐怖を感じながらそのうえでフランツに対して答えた、心臓の鼓動が自分でもわかった。
「菫達を観て、何かを感じました」
「その何かとは」
「誰もが共に観られて楽しめるからですね」
「菫達を観てですね」
「はい」
 それでだということがだ、今わかったのだ。
「それでだったのです」
「そうでしたか」
「はい、ですから」
 それでだとだ、さらに言うリサだった。
「私は菫に感じたのですね」
「そうだったのですか」
「侯爵」
 リサはフランツの顔を見上げて彼を呼んだ。
「若し。私でよければ」
「貴女でよければ」
「共にこの菫達を皆と共に観ていいでしょうか」
「喜んで」
 フランツは心の中の鼓動を何とか堪えながら応えた。
「それでは」
「はい、では」
 二人同時ではなかった、ややフランツの方が速かった。
 その両手を差し出した、そしてだった。
 お互いに握り合った、それぞれの前で。
 二人はそのうえで菫達を観続けた、今もまた。
 リサはフランツの妻となり末永く幸せに過ごした、そのうえで彼、そして民達と共に公園の菫達を観て楽しんだ。
 公園の菫達は毎年咲き誇り二人も民達も楽しませた。そしてだった。
 その花達を観てだ、民達はこう話した。
「この菫の中で侯爵様は姫様に告白したんだよ」
「へえ、そうなのか」
「この芝生でか」
「ああ、ここでな」
 まさにこの場でだというのだ。
「告白してそれで姫様が侯爵様の奥さんになったんだよ」
「そうか、それでか」
「姫様がここに来たんだな」
「そうだよ、それでそのお姫様はな」
 リサ、彼女はというと。
「その時からずっと菫を愛し続けてたんだよ」
「この花達をか」
「そうだったのか」
「そうだよ、それで姫様はすみれ姫って呼ばれてたんだよ」
 菫を愛していたからだ、そう呼ばれていたというのだ。
「ずっとな」
「そうか、この花達をか」
「ずっと愛していたんだな」
「皆でこうして観てな」
 今彼等がそうしている様にだというのだ。
「そうしてる
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